皆さん今年の盆休みいかがお過ごしだったでしょうか。
私は8月14日の日曜日、人生初めて富士急ハイランドに行ってきまして、そこの誇る4大絶叫マシーンの一つ、ええじゃないかに乗ってきました。その体験が非常に強烈だったので、ここに備忘録しておこうというわけです。
例によって前置きが長いので、ええじゃないかの列に並んでからの恐怖体験が読みたい方はこちらから。
以下目次のええじゃないか行列に並んで乗り込むまでの間にから。
ええじゃないかに乗ってからの体験談が聞きたい方はこちらから。
以下目次のええじゃないか体験談から。
マシーンのコースや人体の振り回し方に関するネタバレがありますので以下読み続ける方はお気をつけください。
それではフルで読んでくださる方は遡ること今年の春の話からになりますのでお付き合いください。
どうやって富士急ハイランドに辿り着いたのか
遡ること数ヶ月、今年の春くらいのことだったと思います。友人のshiro氏と富士山登山の気運が高まり、今夏決行の運びとなったのです。
その後は各々道具を揃えたり、実際に山登って練習したりと過ごしていました。
日程を8/13〜14の土日と決め、山小屋も確保していたのです。1週間前の天気予報は土日共に晴れよりの天気予報で、「こりゃひょっとするとご来光綺麗に見えるんかもな」と期待してパッキングなど進めていたのですが…
8/10の昼頃、天気予報で小笠原諸島あたりで台風8号が発生。土日休みに東海関東を直撃する見込みとなりました。
最初は土曜朝には東海から抜けていく予報だったので、「まぁ…いけるか…?」と思っていたのが、次第に着弾予想が遅くなり、とうとう土曜昼間に富士山ど直撃ルートとなりました。
実際ここらで「これは登山は無理かも…まぁ5合目で富士山カレーでも食うか…」と思っておったのですが、前日金曜日の夕方には、環境庁の富士登山公式アカウントから登山自粛のお願い、静岡県警から「来るな!」という画像付き注意喚起ツイート、そして富士急バスが翌日の5合目とのシャトルバスをほぼ運休という報が流れてきました。5合目どころではないという話になって予定はアジャパーとなったわけです。
かくてここに富士登山装備を整えた行き場のない集団が出来上がってしまったのです。
まぁ、そうは言っても娯楽の街東京。翌日は都内で遊んでいて、さて日曜日どうしようかともなったわけです。
金曜日の合流前に富士山ダメだったら富士急ハイランドでも行くかーという話をしていたこともあって、ここで日曜日の富士急ハイランド突撃が決まったわけです。
ここ最近自分はやたら滅多に怪談話を聞いていたこともあって、戦慄迷宮などで涼みたいというような動機もあったんですね。
これが富士山を目指していた男たちが、富士急ハイランドに行くことになった経緯です。
この時、私は思いもよらなかったのです。…まさかあんな思いをすることになるだなんて…。
富士急ハイランド到着〜ええじゃないか行列に並ぶまで
日曜日朝に所沢を出発して、車を走らせること約2時間半ほどだったでしょうか。富士急ハイランドに到着したのは13時過ぎ。
かつてこの辺りに住んでいたこともあった割に、富士急ハイランドにきたことはなかったなあ…と思いながら、駐車場に車を停めチケットを買いに売り場に向かいます。
その最中、聞こえてくるわけですよ。「ぎゃあああああああ〜!!」という人の声。
なんだなんだと思っていると、チケット売り場の近くをジェットコースター(おそらくFUJIYAMA)が通っているのでそれにのっている人々の悲鳴な訳ですね。
いやー、えらいこっちゃなー。とのほほんと思いながらチケット売り場に並んでいると、掲示板に戦慄迷宮が全時間帯売り切れの表示(ここだけはフリーパスと別料金で時間指定券の購入必要なのです)
まさに、「ガーンだな、出鼻をくじかれた」という感になるわけですが、まぁここまで来て帰るつもりもないし、アトラクションは山のようにあるわけだからとチケット買って富士急ハイランド入場。
遊園地は計画性の必要なアクティビティだ、というような話をしながら、いわゆるファストパス相当の機能を持つ絶叫優先券を買うべく2人して各地に散らばったものの、ちょうど現地優先券が売り切れる時間帯だったらしく、「買えんかったわ、ガハハ」と。
ただでは転ばないので、ほどほどの待ち時間で乗れそうなクール・ジャッパーンの列に並ぶ。こちらのアトラクションは要するに水に突っ込んでびしょ濡れになるというまさに真夏にピッタリのソリューション。
で、その列で待ってると聞こえてくるんですよ、そのクール・ジャッパーンのアトラクションの悲鳴に混じって、近くの上方からなんか悲鳴が…。それがまさに後に衝撃的な体験をすることになるええじゃないかだったんですね…。
ここでクール・ジャッパーンの乗車体験をもって、富士急ハイランドの絶叫マシンの乗車方法について説明しておきたいと思います。
順番待ちの行列を終えると、ロッカーがありそこにカバンなりスマホなりを預けます。このときにメガネも外してロッカーに放り込むんですね。
故に裸眼でアトラクションになることとなります。自分などは視力0.1ラインを下回っているので、もうこの時点でアトラクションに乗り込むのも一苦労なわけですが…。まあ、メガネがすっ飛ぶよりは見えないほうがいい。恐怖感も和らぐでしょう。
クール・ジャッパーンはゴンドラが登って水面に向かってバッシャーンとツッコんでいくというシンプルな仕掛けなのですが、乗り込んでみると存外高いし、落ち始めたときの胃の腑がせり上がってくる体感時間が思ったよりも長い。
水面に突っ込んで水を浴びまくった結果、なんもかんも可笑しくなって笑っちゃったのでそのあたりの恐怖感は薄れてしまったが…。
このアトラクションが終わり、昼飯を食べながら「じゃあ次何乗る?」という話をしていて、まあクール・ジャッパーンに並んでいる1時間弱の間に嫌というほどそこから発される悲鳴をきいていたええじゃないかにチャレンジしてみることに。
遊園地といえばオムライスっしょという昼食を食べ終え、ずぶ濡れの服を乾かす時間も兼ねて2時間余りのええじゃないか行列に並ぶこととなったのだった。
ええじゃないか行列に並んで乗り込むまでの間に
ええじゃないかの行列に並んで、アトラクションの下にやってきてみると、このアトラクションが存外やべえんじゃないかということがひしひしと感じられた。
とりあえずええじゃないかがどんなアトラクションかということを見てもらうには、こちらの動画みてもらったらわかりやすいんじゃないかと思うので、公式HPから引っ張ってきました。
特徴としてはコースターのようなかたちではなく、足が宙ぶらりんになる形式。そして、とにかくグルングルンぶん回されるというもの。
行列に並んでいるさなか、人体が情け容赦なく振り回される様に徐々に恐怖していく富士登山断念の二人組。
ジェットコースターに並んでるけど、二人とも普通に怖すぎてトーンダウンしてます
— onoshiro (@onoshiro1) 2022年8月14日
生きて帰ってきたら来週からはちゃんと自炊とかするんだ…
— タカボン (@long_gate7510) 2022年8月14日
アトラクションの入り口に入って、建物の外階段を折り返し折り返し行列を進んでいくんですが、その待っている真ん前がアトラクションのコースとなっていて、時折超スピードで人体が大悲鳴とともにかっ飛んでいくのです。
あんな風にぶん回していいのか…?極めて激しい人体への無配慮を感じます…。俺たちは本当なら今頃富士山頂から下山して、富士吉田のスパ銭に入り、さいたまに帰って近場の飲み屋で登頂成功打ち上げでもやっていたんじゃないのか?今から我々は果たしてどうなってしまうのか…。
極めて強い不安感とともに、列を進んでいくと何事か聞こえてくる…。
このとき、富士急ハイランドは『異世界カルテット』作品群とコラボイベント中であり、このええじゃないかは『盾の勇者の成り上がり』とコラボしていたのだった。
『盾の勇者の成り上がり』は一期を楽しく見ていたこともあり、そうだ、気を紛らせようと思っていたが。列を進んで建物内に入ると…。
おい、マージンがねえじゃねえか。
建物内に入って、はい、ドン。で乗り場なんて聞いてねえよ!?
建物内が即乗り場であることに気がついた自分について、同行者のshiro氏は
次の便に乗るってわかったときのタカボンさんの顔、みんなにも見せたかった
— onoshiro (@onoshiro1) 2022年8月14日
とツイートしており、自分の絶望の感情がうかがえる。
しかし、どれだけ絶望しようとも順番は待ってくれない。そこから逃げるためには「やっぱ乗るのやめます」の一言しかなく。
いや、しかしそれをやったとき、富士山登山権も得られず、富士急ハイランドに来て戦慄迷宮にもいかず、4大絶叫マシン全てから逃げおおせることとなる。そんなことで何をもって埼玉に戻ることができようか。
腹をくくって、ロッカーに荷物を預けて、メガネを外して待機場所に向かう。
そうこうしていると先発のコースターが出発しようとしている。建物内にいるので、先程うっすら聞こえてきた『盾の勇者の成り上がり』ヒロインのラフタリアのアナウンスが再び流れてくる。
「ラフタリアです。ぐるぐる回っても~。ええじゃないかええじゃないか、わっしょいわっしょい。」
「あっ、フィーロ!コースターについていっちゃダメだったら!」
というようなセリフだったはず。盾の勇者の成り上がりのラフタリアと主人公のナオフミの相互依存のような関係性が好きでですね…。まあ、そんなことを考えながら待っていたらスタッフさんから安全姿勢の説明がありました。
要点は3つ。「足、手を投げ出さない」「腕でしっかり安全バーをつかむ」「首は後ろのパッドにしっかりくっつけてはなさない」ということでした。この安全姿勢を各々しっかり取ってくださいという。
直前のクール・ジャッパーンと比べても安全姿勢への力感が違う。
そして、いよいよ前の組が終了し我々の順番がやってくる。安全バー、腰のベルト等々をしっかりと固定し、それらの最後の確認の際には乗客自身でも問題ないことを確認させられる。
もう逃げられない。全員が座席に固定されると足元のフロアが格納されていよいよ我々は宙吊りになる。そして先程のラフタリアのアナウンスが流れ、スタッフさん共々「ええじゃないかええじゃないか」と送り出される。
時間にして数分にもならないだろう恐怖体験はこうして幕を開けた。
ええじゃないか体験談
まず、出発してからコースターは背中向きに進む。
スタート地点から少し下るとき背中から落ちていく感覚を得るのだが、こんなものは序の口らしい。スタートしてUの字に折り返すといよいよぐんぐんと高度を上げていく。
背中向きで進むからいつ落ちるのかわからない。あっという間に先程のクール・ジャッパーンの高さを超えるが、まだ上がり続けていく。
裸眼の視力ではおぼろげにしか見えない富士吉田の山側の景色だが、そんなものを見ながら「わー、高い!高い!!」と騒ぎながら上がり続けていく。
こんなにやかましい人間ほかに乗っていたんだろうか。今にして思うと、思い出せない。そのくらいに上がり続ける高度に緊張がドッと高まり続けていた。
この背中向きに進んでいくシステムを考えたのは誰なのだろう。実に有効手だ。
「まだ上がるのか!?」と思い続けていくらか経ってとうとうその時がやってきた。平衡感覚が確かにピークを感じ取り、コースターが背中から落ち始める…。
「くる…!!!」と身構えたそのとき。
コースターは再び上昇を見せる。
「は!??!?!」と困惑していると…。
体の平衡感覚が再び落下の兆候を掴み取る。それは先程の落下がブラフであることを明らかにする。明確な垂直落下の容赦なさだった。
背中から落ち始めライオンキングのムファサの最期のときのようにお空を眺めていたが…
座席がグルっと回って、視界が地面に向き直された。
落ちるときは地面を見んかい!!という容赦の無さだった。そして、このときの加速感は自由落下のそれを超えていたんじゃないか。下方向に向かっての加速度を感じたのだけど。
もちろん当時の自分はそんな冷静に考えていたわけもなく、胃の腑が上がるというレベルではない衝撃を感じながら迫ってくる地面を目にしながら雄叫びをあげていた。
…実のところ状況を冷静に把握していたのはこのあたりまでで、以下の記述はあとになってコースを冷静に見返したときの記憶と符合させていることを了承いただきたい。
初っ端にしてコース最大の落下を見せたあと、今度は人体に強烈な衝撃を感じた。
ここでコースターは進行方向を軸として回転していたのでおそらくはその遠心力の衝撃を感じていたのだろうと思う。同時に進行方向と垂直軸にも回転していたはずなので、そちらにも両手両足がぶん投げられそうな衝撃だった。
なんにせよ、とにかく四方八方にぶっ飛びそうな四肢を必死に安全バーに、フットバーに引っ付けるのに必死だった。
あんまりな衝撃に「これ本当に安全姿勢とりそこねたらえらいことになりそう」という恐怖心もあった。
コースターは再びUの字に旋回して、アトラクションスタート地点の建物脇を過ぎていく。先程まで我々が延々悲鳴を聞いていた場所だ。今度は我々が待つ人々に絶叫を与えていく。
このあたりから隣の席のshiro氏から「なんでこんなことするのー!!」という叫び声が聞こえてきたのが印象に残っている。
「なんでこんなことするの」「やめてよ」などの叫び声が出ました
— onoshiro (@onoshiro1) 2022年8月14日
本当にその通りで、初っ端の落下のブラフ、その後の四肢爆散上等!というような遠心力。何故?といわずにはいられない人体への挑戦だった。
そして、最後にぐるっと縦方向にQの字に一回転するところがあるのだが、ここで首が頭部のクッションから浮きそうになり必死に後ろ方向に押さえつけていた。
もう正直この辺りになるともう何が何だかわかっていない。いつまでこの天地逆転空間が続くのか…と思っていると、コースターに急ブレーキがかかり屋根のあるところに戻ってきた。
どうにも可笑しくなってきて、笑いながら「ヤバイ!ヤバイよこれ!」とはしゃいでいた。「冗談じゃないわ!いやー、やっばいわ!」と大の男がはしゃぎ倒していたが、それは先程までの恐怖体験の反動なのだろうか。
コースターがゆっくりと背中向きに進んでいく中で、うしろからは先程のアナウンスが聞こえてくる。「ラフタリアです。ぐるぐる回っても~ええじゃないかええじゃないか、わっしょいわっしょい」
どうしてあんなににこやかに、この死地に送り出していくのか。あんなに優しいラフタリアが…。俺たちがなにかしたというのか…。
もうぐるぐるぶん回されることはないという安心感を得ながら、「どうしてあのラフタリアが…」という思いを新たに得ながらも、コースターが出発地点に戻り床がせり出してきて安全装置を外してもらい着地する。揺るがぬフロアに安心しながら、どうにも可笑しくてハハハと笑いながら荷物をロッカーから取り出し出口に向かう。
建物を出て遠くを見ると夕暮れの富士山が視界に入る。揺るがぬ大地っていいよな…という感慨を得ながらベンチにへたり込み、結局10分ほど休憩しないと次の行動に移れなかった。
こうして非常に強烈な印象を残し、私の初富士急ハイランド、初ええじゃないか体験は幕を閉じたのだった。
ええじゃないか後日談
ええじゃないかの体験は実に強烈だったようで、翌日仕事中にも幾度となくあの落下するときに強制的に地面を向かせられたところを思い浮かべていた。
「大変なことを経験した…」の実感とともに、一つこのええじゃないかには疑問が残り続けていた。
「あの優しいラフタリアが何故…」である。
その答えを得るために、いつか盾の勇者の成り上がりを見直さないといけない…と思い続けていた。
今回9月の3連休でとうとうその機会を得たので仮説を述べて本記事を終えたいと思う。
あの優しいラフタリアが「ええじゃないかええじゃないか」と我々をぶん投げたのはなぜか。実はあのときラフタリアは怒っていたのではないかというわけです。怒って「貴様ら遠心力に振り回されてこんかい」と送り出していたんじゃないか。だって、そうじゃなかったらあの乗り物に乗る我々に対してはもっと「本当に気をつけてくださいね」的な案じるセリフに…なったらいいなというわけです。
そこで、この仮説の調査のために1期2クールを一気に見直してみたんですけど、優しいラフタリアですが、怒りをあらわにしたシーンには2パターン存在します。(嫉妬の感情は今回除いています。)
一つには、自分含む亜人種(いわゆるケモミミ)の子どもたちにひどいことをしていた領主に相対するシーン。しかし、これは今回私には当てはまらないですね。最近はよくケモミミASMRを聞いていることもあり、自分はどちらかというとあの世界において亜人種の味方であります。
となるともう一つのパターン。ラフタリアが激怒に燃えるシーンとは主人たる主人公の盾の勇者への侮蔑があったとき。…前者が違うのだから、こちらが当てはまっていたのでしょう。あの日の行動のどこかに盾の勇者を侮る言動があったということ…。
しかし振り返ってみてもそこに思い至るところがないわけですよ。
ラフタリアの激怒の原因となった盾の勇者へのその言動に思い至り改善することがない以上、私は再びええじゃないかに乗り込むとき、同じように激怒ラフタリアに人体ぶんまわしの刑に処されるわけです。
この謎を解くためには、ついこの間まで放送されていた盾の勇者の成り上がり2期を見るしかないのか…。ふたたびええじゃないかに乗るその日まで、手心を加えてもらうために…。