人生、東奔西走

自分の人生の備忘録のつもりで作りました。

中日ドラゴンズ「サウスポー」応援自粛騒動に思いを馳せる 

いやー、最初にこのニュースを聞いたときはこんな話題になるとは思ってなくて…。

中日ドラゴンズの球団から応援団へのチャンテへの改善要請問題

headlines.yahoo.co.jp

 

こういう日々のニュースを取り上げるの雑記にしては珍しいね?と思った方もいるかもしれません。

なにも天声人語みたく、これに切り込む!ってやりたいわけじゃなくてですね…。

 

この話で最初に思ったのが「ドラゴンズファンは別に選手を軽んじて『お前』と言っているわけじゃないだろうに…」というところ。むしろチャンテというシチュエーションを考えたときに、「お前!頼むぞほんと!」というような、祈りとか頑張れとかそういう感情の発露としてのあの歌詞だろうと思うんですよ。

そりゃ、数万人から野球ファンが集まって応援してるわけで、なかには口汚いどうしようもない野次を飛ばすような輩や、そこまで熱量込めて応援しているわけではない観客もいるでしょうけど。すくなくともライトスタンドのドラゴンズファンの大半は、「声援」としてあの歌詞を歌っていたわけで。総体としてあのライトスタンドから発せられる「お前が打たなきゃ誰が打つ」は、なにも選手に対してお前と見下している発言ではないだろう…と。そう感じるわけ。

それが、今回その受け手からは「ちょっとお前って言われるのはなぁ…」という感想が挙がったことで、これまでチャンテとして使っていた応援歌が、そういう受け取られ方をされてたのか…ってモヤっとする感じが残ったんじゃないかと…そう思うわけ。

 

ドラゴンズファンの気持ちを勝手に代弁するのは良くないので、実体験から。

去年のことなんですけど、5月に負けがこんでたころ、レフトスタンドのライオンズファンから「気合を入れろ、ライオンズ」コールがあがったことがありました。

その後の試合でヒロインに上がった秋山が「先日も気合を入れろという声がありましたが、選手も必死にやっているので(意訳)」ということを言ってたのを思い出します。ちょっと一言一句は覚えてないので、ご容赦を。その時の心情を記してた記事があったので引用しときます。

遡れば、5月の秋山のヒロイン。
「ファンの皆さんと共に強く」という言葉があった。
レフトスタンドからの「気合を入れろライオンズ」のコールに対しての言葉だった。
そうだ、気合を入れろなんて、向かい合いの言葉じゃない。「共に熱く、共に強く」の言葉通り、ライオンズと共に戦う。

(俺は埼玉西武ライオンズを信じる - 人生、東奔西走)

ファンだから、応援団だから何でも言っていいわけではない。選手に対する敬意は常にもっておくべきだろうと思う。

このときの「気合を入れろ」コールには選手に対する声援という意味合い以上に、叱咤という意味合いが強いものだった。だから秋山から「それはちょっと違うんじゃないか」と返ってきたんじゃないかと思う。

このとき、俺はよくぞ言ってくれたと思ったね。そう、選手とファンが対面してなにか言い合っていても勝てないんすよ。同じ側を向いて、残る5球団のチームとファンを打ち倒す。この構図でなくては。

気合を入れろコールに対して秋山が苦言を呈してくれたことに感激したのは「ああ、秋山はこちらの声が正しく届いているんだ」という感情もあったのかもしれない。ヒロインなんかでは多くの選手が「声援が後押ししてくれました」というニュアンスのことを言ってくれるが、もしその声援が声援でないとき、選手は気がついているのだと。

 

この秋山のヒロイン以降。球場での声援の送り方には気をつけるようにしている。…まぁ、俺は基本的に何が起きようともライオンズの選手にはダダ甘なのであんまり参考にならないんだけど。お前なんかもう知らん!と言うことができないタイプの人間。同じユニフォーム着て戦ってるんだからな。この世界でたった100人弱のライオンズの選手よ。共に戦うんだよ、俺たちは。

 

なんか、混乱してきたな…。一旦整理しよう。

①「サウスポー」チャンテの「『お前』が打たなきゃ誰が打つ」は選手を軽んじて「お前」といってるわけではない。願い・祈りの言葉の一部。

②一方で、選手を軽んじた声援には選手は気がつくこともあるし、ときに苦言を呈してくれることもある。

 

まぁ、言ってしまえば、俺は今回ドラゴンズには「お前」というワード一つを取り上げて、排除しようとしてしまうのではなく、全体の文脈として見てほしかった…と、そういうとこなんだろうか。わざわざ雑記にあげているのは。なんでその言葉を額面通りに受け取るんだ、もっと行間を読んでくれよと…。

なんかこういう風な取り上げられ方をしたら、ちびっ子のドラゴンズファンなんかは「僕は今まで『お前』なんて失礼な言い方をしてしまったんだ…」と後ろめたさを覚えるかもしれない。子どもを出すのは卑怯だと思う。だが、そのロジックはドラゴンズが先に持ち出してきたものだ。

 

今回ドラゴンズ応援団は「球団からも要望があり自粛という形になった」という。

サウスポーは確かに有名チャンテだし、今日の試合からいきなり「『お前が打たなきゃ誰が打つ』のフレーズですが、『○○(選手名)が打たなきゃ誰が打つ』に変更とします。みなさんよろしく!」というのは難しいだろう。京田、平田このあたりの選手なら音節上もスッと言いやすいが、大島は?高橋周平は?いきなり試合前の短い時間で1万人近いライトスタンドのファンに周知するのは不可能だろう。

応援団からしたら、球団からこういう要望があったのに「でも今から急に変更するのは難しいので、せめて今シーズン中は待ってください」とは言えまい。だって、球団に言われちゃったんだもの。あなた方が送ってくる声援は、『お前』って言われるからちょっと不適切だよ。と。当の球団に言われちゃったんだもの。その上で、それを承知で応援団が愛するチームに「応援団の統制の都合」でそのフレーズを送れますか?送れませんよ。そんなの。

 

どうすべきだったのか…ってもうことが終わったあとに言うもんじゃないけど。

シーズン終了後に、球団が応援団に要請。応援団は十分な時間をもって、サウスポーチャンテに改良を加える。まあ、球団の要望通りなら『お前』を選手名に変えるという対処法でしょうな。これ自体は教育上の観点とか、上から目線だとか云々を抜きにしていいと思う。選手名コールの一体感はいろいろな球団で実証済みだ。中田翔井口資仁etc。あとは手前味噌だけど西武のチャンテ4なんかもそうですね。

春キャンプ、オープン戦を経て、ファンに十分な周知をして、2020年新生サウスポーとして誕生させる。ファンからしたら「おっ、チャンテのマイナーチェンジ。いいじゃんね、新鮮味があって」ということになったかもしれない。こんな炎上じみた騒動にはなってなかっただろう。

なんで焦ってしまったんだ中日球団。もしかして本当に残り70試合の『お前』呼ばわりに耐えられなかったのか。

今回の騒動で気の毒だな…と思ったのは、これまで純粋に応援の情で「お前が打たなきゃ誰が打つ」って言ってたドラゴンズファン。彼ら彼女らの大半は普通に選手が好きで応援してただけだろうに…。

なんともやるせない気持ちになるそんな話題でした。

 

101.8