人生、東奔西走

自分の人生の備忘録のつもりで作りました。

ウルトラマンブレーザー 第1話『ファースト・ウェイブ』感想 ゲント隊長とブレーザーの物語の始まり

皆さん、ウルトラマンブレーザー見ました!?

見終わった感想としては「えらいもんが始まったかもしれん…」という感嘆でした。

そのくらいに気合の入った第1話でしたね…。いやあ…あっという間の30分でした。

 

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冒頭、主人公のヒルマ・ゲント隊長率いる第1特殊機動団が輸送機内で空中待機しているシーンから始まります。

作戦内容を諳んじさせることで状況説明をする。そこに隊長が「そして全員無事に帰還することだ」と加えることでゲント隊長の価値観をまず披露。その後、ハッチが開いて空挺降下を始めると、アングルは池袋の夜景空撮。その夜景の中に炎の筋があることでまさに地上では怪獣災害発生中であるということがわかる。

なんとまあコンパクトに状況と主人公を説明したファーストカットであることか。

 

ブレーザーという作品の空気感は予想はできても、第1話放送されるまで実際のところはわからない部分も多いですからね。

事前の予想以上にミリタリー描写は随分リアル寄りになっていたと思います。無線通信する際の「~~、おくれ」「コピー」「ウィルコォ」等の軍用無線特有の言い回しが徹底されていたのはその一例でしょう。

地上支援の戦闘機部隊や火力投射地上部隊なんかがそれぞれ別チームとして運用され、それら指揮系統が一筋縄ではないというのはこれまでの防衛チームよりも随分複雑な組織図である予感がしています。

防衛チームを主軸とした作品の中でも情報量の多さに関して随一のものとなる気がしています。

あくまでリアル寄りと申しましたのは、例えば第一特殊機動団の隊員にしても、喜怒哀楽はかなりはっきりと表現しており、特撮ドラマの登場キャラとしてのキャラ付けはされていると感じたからですね。ここまで完全にリアルに寄せると、シン・ゴジラ斎藤工さん演じる戦車隊の中隊長みたいなリアクションが正しくなるでしょうから、ウルトラマンの作風としてはいい塩梅だと感じています。

 

また、1話について「怪獣映画でも見ているかのような」という感想も抱きました。バザンガという怪獣災害に対処する、このシーンに1話全部を使い切るという英断。

逆に言えば、この時点でこの地球の世界観や防衛軍の説明なんかはほとんど何も為されていないわけでもあります。そのあたりの「なんかよくわからんけど…」を封殺する圧倒的特撮描写。

夜の池袋の闇と炎、そして光。見応えがありました…。

その中を闊歩するバザンガという新怪獣!

1話の影のMVPは彼ではないでしょうかね。砲撃をものともしない、止めようがないという怪獣とはかくあるべしともいう無敵の進軍。元ネタはエビだそうですが、そのエビの鋭角な部分と硬質な部分が実にかっこよい。重厚感もあっていいねえ…いいねえ…。

両腕の爪部分から棘をガトリングガンのように射出するシーン、あれかっこよすぎませんかね…。戦闘中気合が入ると頭のひげが回転するギミックも、シンプルながらスイッチオンがわかりやすくて良い。

肉弾戦も強く、ブレーザーに対しても途中でエミ隊員の援護射撃が入るまでは押し気味であり、1話の新怪獣として格は十二分でしょう。ちょっとソフビとか欲しくなるもんな…。

 

では、ウルトラマンブレーザーについて語りましょう。

こちらにビルが倒壊してくるというピンチにゲント隊長の腕に突如出現したブレーザーブレス。で、強制力的CG描写によってブレーザーストーンをセットし変身ボタン押下に導かれるゲント隊長。

倒れてくるビルを受け止めて、バザンガ側からの視点に移り、巨人の半身がビル影から見える。じっくりとしたタメのあともう半身をビル影から表すとそこには青く輝く発行パーツと動脈静脈のような赤青のボティラインが。

くぅーっ…!ここのシーンのために1話池袋決戦は夜である必要があった…!

あのブレーザー初登場シーン、かっこよかった…。こんなに映えるのか発光パーツと夜戦。

 

そして、ここからのブレーザー戦闘シーンに度肝を抜かれたわけです。

まず初手、バザンガの射出棘をかわしてジャンプしたと思ったらあれ池袋サンシャインシティのビルか?によじ登って、そこから飛び蹴りを繰り出すわけです。

よじ登って…?そんなことしていいの?この時点で「このウルトラマンの戦闘スタイル新しいかも…」という予感があったわけですが、その予感は程なく確信に変わるわけです。

バザンガに相対して、自身の背後に負傷している第一特殊起動団の隊員がいることに気がついたブレーザーは、バザンガを一旦押し返すと「urrrrrrrアアアアアッ!!」とでも表現したらいいのか…そういう雄叫びを上げて何度も威嚇するわけです。

威嚇…?いやそうなんです、威圧とかではなくてあれは実に野性的な威嚇。

 

今回ブレーザーのCVをスーツアクターの岩田栄慶さんが演じるということは事前に発表されていましたが、ブレーザーが喋るウルトラマンだと思ったわけではなくて、いわゆる「シュアッ」とか「デアッ」のような掛け声を演じられるということだと思っていました。

どっこい、そんなレベルではなくて咆哮。戦闘中に何度となくそういう巻き舌の咆哮で鼓舞しながら戦っていく様をみて、「これはなるほど実際に演じている岩田さんが声もあてるというのが表現の一致をみる」と納得したものです。

そんな風に荒々しく戦っていくスタイルを見て、ウルトラマンのファイティングスタイルにはまだ未開の領域があったんだなと感激したものです。

もちろん直近ギャラファイで公開されていたウルトラマンゼロのワイルドバーストみたいな、野性味を全面に押し出したウルトラマンというのも存在はしますが、それらに比べてももっと…なんというんだろう原人的というか…時系列において根源的な何かを感じました。

放送後のツイートで「神秘の超人というより狩人みたい」というのを見て、腑に落ちたものです。ブレーザーの必殺技は槍状エネルギーを投擲するスパイラルバレード、これは人類がマンモスと戦っていた頃に槍投げて戦っていた頃のような、そういうモチーフなんかもしれないな…と。

しかしブレーザーのデザインが秀逸だなと感じたのは、そういうファイティングスタイルをしてもなお神秘性もまた併せ持つところです。シルバーベースのボディに赤青のラインと発光パーツ。

未来性も感じさせるデザインであったことから、1話のこのファイティングスタイルが明らかになったタイミングの衝撃が大きくなったのかもしれません。

 

そしてこのブレーザー、結局何者なのかということは1話時点では全く明らかになっていない。そもそも変身時の人格はどうなっているのか。

変身直後に自身の姿に戸惑っている様子があるからゲント隊長の人格はあるようだけど、それが戦闘中の全主導権をゲント隊長が担っているのかはまだ分からない。彼に力を貸すブレーザーにも人格主体はあるのか…?

M421という天体からやってきた光の巨人と公式資料にも明記されているから付与型ではなく憑依型ではあると思うけど。何故力を貸してくれるのか…?

公式アナウンスでブレーザーを紹介するときの表現で特徴的だなと感じたのが「救命の光」という表現。ブレーザーブレスの出現条件はゲントが「守りたいと強く念じたとき」ともあるし、そういうすべての命を守護することに価値観をおいてる巨人なのか…?わからん…わからんことが多いということがわかってきた…。

 

ブレーザーについて語りすぎた。

変身するゲント隊長も初の隊長主人公ということでどんなキャラになるのか気になっていましたが、なかなかいい。

部下に頼られ、軽口も出る。上の命令と現場の目標達成の間にいる中間管理職的な立場に置かれながらも軽妙な口調で指名を遂行しようとする。

第一特殊機動団の面々がバザンガの尻尾でふっとばされた現場に急行し「誰かいないか!いないならいないって言え!」というシーン。緊急事態にもこういう言い回しが出てしまうあたりにゲントのとっつきやすさが滲んでいるような気がしました。

今回、第一特殊機動団の隊員たちとの間の信頼関係も描かれていましたが、次回以降はSKaRDのチーム結成の話になってくる。リーダーとして隊員との関係を構築していくターンに入っていくわけですが、この人柄のゲントがいかにそこを回していくのか。今から楽しみです。

書いていると、ゲントというのは随分現代的なリーダー像であるなとも感じます。MAC隊長やってた頃のダン隊長と比べるのは流石に時代が違いすぎますが…。

 

今作のテーマに「コミュニケーション」というものがあると田口監督は語りました。

隊長として上司、部下とやり取りをしていくことと、一地球人として、未知の光の巨人の力を宿して戦っていくこと。どちらのテーマについてもヒルマ・ゲントがどのように立ち振舞、彼の世界を守っていくのか。

1話で良き隊長として描かれたゲントの姿と、荒々しく怪獣を狩っていくブレーザーの姿。この物語の終わりまでの間に2つの人格とそれらを取り巻く人格において、どういうやりとりが為されていくのか。非常に楽しみです。

 

自分が抱いていた高い期待値には1話が見事に応えてくれました。

ウルトラマンブレーザー、とんでもないものが始まったのかもしれません。

 

115.4