天王山最終ラウンド第1戦を勝利で終えて、今シーズン初の首位に立った。ただ、辻監督の勝利インタビューでの言葉の通り「首位だけど、これは首位じゃない」と。まったくもって仰るとおり。
明日負ければ、ホークスにマジックが点灯する。勝てば我々にマジックが点灯する。
この1ヶ月弱ほど、パ・リーグのマジックナンバー点灯を阻止し続けてきましたがそれももうおしまい。優勝を争う獅子と鷹の最後の直接対決が終わるのを待って、パ・リーグにもとうとうマジックナンバーが灯ります。
シーズン開幕直前の記事がある。シーズン開幕15時間前。
もう半年近く前のことになってしまった。
俺たちはあの日から何を得て、何を失ったのか…。
内海哲也、松本航、ザック・ニールらを迎え、我々のチームは新しく、より強くなった。せっかく同じユニフォームを着ているのだ。新加入の選手にもライオンズでいい思いをしてもらいたい。そして、俺にいい思いをさせて欲しい。
今年も勝つ、という。気合に満ちた記事だった。
その思いとは真逆の開幕3連敗から始まった。「やっぱり今年は厳しいのか…?」という思いが出てこなかったといえば嘘になる。そういう事が起きていた。
しかし5割をキープし続けて、ライオンズは戦い続けた。平井が投げた、森が守った、武隈が先発マウンドに立った。ローテなんて何度の再編を経たのかわからない。ヒースが、ニールが再調整のために2軍に落ちた。多和田も榎田も去年のパフォーマンスを見せることができなかった。おかわりの負傷もあった、源田のフルイニングがストップするようなこともあった。外崎は自分で脱臼を治していた。
シーズンオフにすでに満身創痍なのでは?と思っていたチームは、シーズン中も満身創痍だった。そんなチームを救うべく、本田圭佑が、髙橋光成がローテを守った。佐野が苦しいブルペンを支え続けた。永江が随分久しぶりに遊撃守備についた。戸川が、愛斗が、中田が、鈴木が、佐藤がプロ初安打を放った。駒月も一軍捕手最後の砦として戦い続けている。
夏のピークと共に、チームがすこしずつ好転し始めた。
ニールが投げれば勝つようになった。今井達也もローテ頭で苦しい相手をうけもってくれた。平井が投げた。増田がさらに進化して投げ続けた。平良がライオンズファン待望の姿の投手として我々の前に現れた。森は攻守にがんばり続けた。おかわりが打撃の真髄を極め始めた。栗山がDHの穴を必死に埋めている。秋山が今日も打っている。山川が再び四番打者への挑戦を始めた。木村と金子がプロの一軍選手としての格を若手に見せつけ続けている。
状況も少しずつ我々に利するようになってきた。あんなに遠くに見えたホークスの背中が少しずつ近づいてきた。いつしか順位が3位に安定し始め、気がつけば2位になっていた。
ライオンズは勝ち続けた。神戸で帯広で釧路で所沢で仙台で…。そして再び今日の天王山を迎えた。
正直、シーズンも最終盤というこの段階で優勝争いができている。首位に立っている。もう十分だ、みんなようやっとる。ここまでできたんだ、胸を張れ。そう言いたくなるような気持ちはある。
でも、ここまできたんだ。
ついにここまできた。
もう少しみんなで夢を見ようぜ。
このバチバチするような試合をできていることで満足するのではなく、明日も今日みたいな痺れるゲームに勝って、残り十数試合逃げ切ってやろうぜ。
あの日から、何を失って、何を得たのか。
結局野球ファンとしての自分は、何を失おうとも、ライオンズの勝利に替わる喜びを得ることはできないのだろうということ。
あいつらの勝利は俺の喜びだ。君等が勝ってくれるなら俺はいくらでも熱狂してやる、そういう所存。
ホークスとの開幕ゲーム前と似たような静かな熱狂の真っ只中にいるような心地だ…。
さあ、天王山ラストラウンドのプレイボールまで18時間。
共に戦うライオンズの選手たちがゆっくり眠れていることを祈りつつ、四国の片隅から変わらぬ声援を送ります。
勝つのは、俺たちだ。
102.8