3月のWBCがあってか、今年はMLBの情報も少しは入ってくるTLになっています。そういう情報を共有してくれるアカウントのツイートが表示されるようになった。
そんな中でこういうツイートが流れてきました。
ピッチクロックが導入されてもこういうMLBの良いところはしっかり残ってて安心した。 https://t.co/Rt3HMUzIeP
— 村田洋輔 (@y_MuLB) 2023年4月7日
2009年~2017年ピッツバーグ・パイレーツに在籍しMVP獲得経験もあるアンドリュー・マカッチェン選手が、今年再びパイレーツに戻ってきて、その本拠地ペトコ・パークでの第一打席での光景。
今年のMLBはピッチクロックが導入されて、打者と打者の間は30秒以内ということになっていたのですが、この復帰第一打席は鳴り止まぬ大歓声に、マカッチェンが応えるという時間があり30秒を明らかに超えているように見えます。これについて
MLBはマカッチェンがPNCパークでの復帰第1打席で大歓声を浴びることを想定して、ピッチクロックの罰則を与えないことを事前に決めていたみたいですね。このあたりの演出の上手さは流石MLB。
— 村田洋輔 (@y_MuLB) 2023年4月8日
この情報についての一次ソースを見つけられる英語力がなかったのですが、どうやらこういうことらしい。
確かにこのシーン、よくよくみるとキャッチャーはホームベースの前に立って座ろうとしていないし、アンパイアはダートサークルの外にいて、プレイをかける様子を見せていません。
このマカッチェンの復帰第一打席、ピッツバーグでその瞬間を迎えたファンの時間を大切にしようという思いが両者にあったことは間違いないように見えます。
キャッチャーが構えようとせずに、意図的に時間を作るっての、どこかで聞き覚えがあったな…とおもったら、かつてマリーンズ時代のイチローが相手チーム捕手モリーナに同様の気の利かせ方をしたというのを思い出しました。
ピッチクロック導入に際して、「野球における間が失われて味気なくなってしまう」という懸念の声も見た覚えがあるのですが、こういう要所要所では日本語的な言い回しだと”粋”ってやつは失われていないんですね。私はピッチクロックに関しては導入大賛成派なんですが、こういう場面で杓子定規に1ストライクを取るべきだとは思いません。
まぁ、こういう場面が頻発するものではないという前提の上での話ですが。
そもそもピッチクロック導入は野球というスポーツが時間が長すぎるというエンタメとしての弱点克服のためと理解しています。なのだから、こういうファンの心を強く揺さぶるようなシーンではこういう気の利かせ方があってもいいと思いますね。
しかし、その後しっかりヒットで答えているマカッチェンもえらいね…。
MLBの粋っていうと、最近になって初めて見たデレク・ジーター引退時のCMもなかなか粋でございました。
ジーター引退に際してのナイキ制作の特別CMだそうなんですが。
ヤンキースタジアムの右打席で、バットを構えるジーターに対して相対するライバル球団であるレッドソックスの投手が帽子のつばに手をあてて敬意を表するところから始まり、ヤンキースタジアムの観客たち、ニューヨークの人々…とあちらこちらでジーターに敬意を表して帽子のつばを上げる人々…ってCM。
粋だなと思ったのが、テレビ越しに試合を見ているレッドソックスのファンであってもジーターに対して帽子をあげているし、またサブウェイシリーズを戦う同都市内のライバル球団メッツの選手たちとマスコットキャラも顔と背番号にモザイクをかけながらも帽子に手を当てているところ。敬意を表すべき存在に対しては立場を超えてしっかりとやる。
さて、ちなみにこのCMはヤンキースタジアムでのジーターラストゲームを想定して作られていると思いますが…。
現実においてジーターのヤンキースタジアム最終打席は、なんと試合を決めるサヨナラヒット。
いやー…ほんとスーパースターって…決めるべきところをしっかりきめますよね…。恐れ入った。
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