人生、東奔西走

自分の人生の備忘録のつもりで作りました。

現実という怪物と戦う者たち

本当は昨日書き上げようと思っていた記事なのだけど、昨晩は晩酌をウッキウキで楽しんでいたので今日まで引き伸ばしてしまった。
まぁ、まずはこのニュースを見てよ。

www.tokyo-sports.co.jp

 

現在、6月19日の開幕に向けて練習試合の真っ只中のプロ野球
我らがライオンズは昨日中日ドラゴンズとの練習試合を行っておりました。
與座が開幕ローテを決める好投、木村・スパンジェンバーグの好調っぷりなど非常にいい試合を見せてくれました。
その試合の中で6回表に登板したのは松坂大輔

 

 

オープン戦も含めたらメットライフドームで投げるのは初めてじゃないし、1イニングだけで結果として開幕は2軍スタートが決まったけども…やっぱり松坂大輔がライオンズのユニフォームを着て投げているというのはジーンとくるものがあるのです。


辻監督の評価の中で「いいときの松坂大輔ではない」という言葉があった。
さて、「いいときの松坂大輔」とは…。
どうしても自分は「埼玉西武ライオンズ」がまだ「西武ライオンズ」だった頃…。松井稼頭央カブレラ高木浩之がいたころのライオンズの松坂大輔をイメージしてしまう。
150キロを超える剛速球、エグい切れ味のスライダー、そして試合を請け負ったら勝とうが負けようがマウンドを譲らないというタフネス。もう10年以上も前のことだ。
そして、彼は海を渡った。最高峰のベースボールの世界で積み上げた56勝。二度のWBCでのMVP…。
9年ぶりに日本プロ野球に帰ってきて、ホークス、ドラゴンズと渡り歩き…2020年に14年ぶりにライオンズ復帰。

 

 

ライオンズのユニフォームを着た松坂大輔に再び会うのに14年という月日が過ぎていた。
自分の知っている「一番いいときの松坂大輔」はもう14年も前になるのかもしれない。平成を代表する名投手も今年の9月には40歳になる。月日という現実は斯くの如く、自分の目の前に現れる。

 

松坂はライオンズへの復帰会見で「球は遅くなりましたし、やりたくないと思っていたボールを動かすピッチングをしています」と語った。
140キロ台のフォーシームとカットボール、チェンジアップやスプリット、カーブ。持てる球種、緩急、投球術すべてを使って打者に向かっていく。昨日改めて「そうか、これが今の松坂大輔なのか」と実感した。ドラゴンズ時代のピッチングをしっかりと見ていなかったのもある。
やりたくないと思っていたピッチングをしても、なぜ投げる。何故投げ続ける。それはもちろん松坂にしかわからないし、ここで勝手に語っていいような事柄でもない。
しかし何故だろう、昨日松坂大輔が投げて抑えてベンチに引き上げてくるときの笑顔を見ていると野球少年の面影を感じた。もしかしたら、彼はどこまでも野球が好きなだけなのかもしれない。やりたくないピッチングと言いながら、打者との真剣勝負をどうしようもなく楽しんでいるのかもしれない。もちろん憶測だが。

 

どれほど偉大な名選手も月日という現実には勝てない。肉体的限界、スタミナの衰え、消耗品である肩等の関節への負担…。
40歳を迎えるシーズンまでプロ野球選手でいられるということ自体が凄まじいことなのだ。
その上でなお松坂大輔は「諦めずに200勝という数字を目指していきたい」と言っている。積み上げないと行けない勝ち星は残り30。全盛期なら2年でお釣りが来ていたかもしれない。今はどれだけ順調にいっても4年以上…と見るのが筋だろう。そしてその間にも衰えは忍び寄ってくる。
かつて、自分は西口文也という投手の200勝達成を願い続けて、残り18というところで現役を引退するところを眺めていた。スライダー、ストレート、フォーク…、球威やコントロール。徐々に衰えていくところを感じながらも、最後まで信じていた。今再び、200勝の夢を見せてくれる大投手がライオンズに戻ってきた。

 


155キロのストレートが無くとも、150球投げるスタミナが無くなっても、打者に勝つこと、チームに勝利をもたらすことができるということを松坂大輔はこれから見せていってくれるのかもしれない。
そう思うと、だんだん楽しみになってきた。ワクワクしてきたと言ってもいい。松坂復帰からこちらがわ、フワッとした楽しみが真実味を帯びて形になってきた。力でねじ伏せる投球も見ていて楽しいが、打者を手球にとる投球というのも見ていて小気味いいものである。
辻監督のいう「いいときの松坂大輔」というのはもちろん14年前の松坂大輔ではないだろう。ありとあらゆる技術、経験を総動員して打者と勝負するという準備が整った松坂大輔、それが「いいときの松坂大輔」ということだろう。あれ?しかしそれってかつて自分が見ていた松坂大輔と何が違うのだろう…。投手と打者との全力勝負。野球の醍醐味、それを味あわせてくれるという点で、彼はやっぱり稀代のヒーローなのかもしれない。

 


なにかができなくなっていくという現実、月日・時間の経過という現実、チーム事情etc自分の力ではどうしようもない現実…そういう現実という怪物と戦っていく、背番号16・松坂大輔
しかし彼もまた「平成の怪物」なのだ。時代を跨いでまだまだ俺に夢を見せてくれスーパースター。
貴方の力が必要になるときが必ず来る、その時を楽しみにしています。

 

111.8