(前日へ:2018年九州の旅 2日目 - 人生、東奔西走)
むむ…年も開けて数日経つというのに、ブログの中の俺は今だに鹿児島で酔っ払っている。
記憶があるうちに備忘録しなければ…ということで、九州旅行3日目鹿児島〜熊本編のスタート。
目が覚めたのは4時前後のはず。
ベッドでしばらくグダグダしたあと、シャワーを浴びてチェックアウトすべくフロントへ。
すると、フロントには「0時から5時まではフロントに人がいないので電話で呼んでください」という立て札が。5時の少し前だったので、起こすのも忍びなく、自販機で買ったコーヒーを飲みながら今日1日の行動をシミュレーション。
この後桜島行って、昼間には人吉温泉。そこから阿蘇経由の熊本…。阿蘇山寄るのは時間を見てになるけど、結構ハードなタイムスケジュールになりそうだ。
そうこうしてるとホテルマン登場。キーを返して、一路ネバリ号が待つ30分先の駐車場へ。
月曜日夜明け前の鹿児島市街は静かに眠るようで、その中で煌々と明かりを灯すモスバーガーやローソンら全国チェーン店が少し心強い。
駐車場に着いて、確かそういえば…と駐車場横の西郷隆盛生誕地の公園に立ち寄る。この前日に見た西郷どん最終回、よかったですからね…。
なんでも城山の西郷隆盛像の建立の際には、鹿児島市内の小学生、園児が1〜2キロ並んで、その土台になる石を延々運んだという。魂に刻まれた西郷どん敬愛の念。鹿児島人の前で西郷さんの悪口を言ってはならない。半死半生の目に合うだろう。まぁ、悪口を言われるような人でもないけど西郷さん。
西郷どんに想いを馳せたら、桜島に上陸するためのフェリーに乗るべく鹿児島港へ。
カーナビの案内に従い向かうこと10数分。
宵闇に浮かび上がる桜島フェリー。「乗用車はこちら」の案内に従って岸壁を進むと、フェリーが口を開けて待ってまして…。あれ?俺まだチケットとか買ってないんだけど、と思ってたら、そのまま案内されました。いいんだろうか…車から降りて説明を読むと、なるほど桜島側に料金所があるからそこで払えとのこと。安心して船内でテレビを眺めると、まだめざましテレビの序盤の時間帯だった。
桜島フェリーは24時間運行のフェリーであるので、始発とかそういう概念はないんだけども、相当に早い時間帯であるのに、かなりの人と車が乗り込んでいる。生活航路だなぁ…としみじみ感じながら、デッキに上がる。闇夜に浮かび上がる桜島…という絵面を期待していたけど、暗すぎてなにも見えねえ!背後には鹿児島市街の街明かり、対岸から近づいてくるのは同じく桜島フェリー。
しばらく待ったものの、暗さでなにも見えないまま、気がつけばもうすぐ桜島側の船着場というところ。急いで車に戻って、上陸。
桜島には湯の平展望所という所があり、そこからの眺めがよいということだったので、そちらに向かおうかとしたけれど、日の出はまだという時間帯。東の空がようやく明るくなってきた頃合いだったので、近くのローソンで休憩がてら朝ごはんを食べる。
(ちなみにローソンから見る噴火の交通情報と、店内の釣具コーナー。ご当地感があって面白い)
程よい時間となったので展望所に向かう。道中、小学校があり、児童が登校していた。そう、この日は月曜日。九州一周旅行、平日エリアに突入である。
車で10分程度山道を登っていくと、到着したるは湯之平展望所。月曜日の早朝というのに、カメラを構えた先客がいた。車のナンバーを見るに地元の人ではないらしい。同じ身の上の人かもしれない、と思いを馳せる。
展望所に登ると、眼前に広がるのは鹿児島市街。
なるほど、確かにこれは絶景。
指宿方面の開聞岳も視界に収めることができた。前日に雨中の桜島突撃をしなくてよかった。やはり良い景色は良い天気の時に。鉄板だよね。
振り返って、桜島方面がこちら。
近代に入っても大規模噴火を起こしてきた桜島。山岳崩壊は現在進行形で進み、土砂災害の頻度は凄まじいものがあるらしい。(土石流発生の国内レコード持ちという案内も)
荒々しい山容と吹きすさぶ寒風に、「これが冬の一人旅だな」という感慨を得ながら、展望台を一周。
この旅行初のミラーレスカメラを登場させ、写真を撮ったりしながら過ごしたのち退散。
駐車場に戻ると、土着の猫らしき野良猫が登場。
旅先で犬猫と触れ合うのは、ゆるキャン△の志摩りんで見たやつだ!とゆるキャン△ムーヴも兼ねて、猫と戯れる2〜3分。
ただ、野良猫への餌付けは社会問題にもなっているし、なにより車の中にはキシリトールガムと芋焼酎しかない。どちらもきっと猫の体には悪そうなやつだ。時間も時間だし次の街へ進もうと、サイドミラーで別れを告げる。
目的地の人吉温泉をセットして、車の周囲の安全確認をして出発しようとすると…
増えとる…。これはゆるキャン△の長野ソロキャン遠征回の志摩リンムーヴそのものでは…?俺は志摩リンだったのか…。
桜島キャッツの大仰なお見送りを受けた後は、ひたすら桜島南岸を東進。大隅半島側へ再度上陸。
少し進んだところの道の駅で休憩していると…
桜島が噴火していた…本当に噴くんだ、あの山。いやー、いいもん見た。盛大なお見送りに痛み入ります。ありがとう鹿児島。
さて、それでは続いての目的地、熊本は人吉温泉に向かいましょう。
人吉温泉への道中、カーステレオで地元FM流していたら、鹿児島市内の幼稚園と中継が繋がっていた。幼稚園の先生の紹介によると「みんな、日頃から西郷さんのお話を聞いて、西郷さんのことがだーいすき!」…こうして西郷どん大好き鹿児島県民が量産されていくのか。
道中のSAではこんなものまで売っていた。
マジか…。ええんかこれ…。売り場に大量に並んだ西郷さんチョコはなんかこう…首晒されてるみたいで、鹿児島県民的にはそれはええのか…。
鹿児島県民の変質した西郷さん愛を感じながら、さらに北上。熊本県入りを果たす。
程なくして人吉市。高速を降りると、あたりをつけていた温泉へ。
スイミングスクールに併設されてる温泉なんだけど、佇まいが温泉郷の温泉という感じで良い。
入ってみると、番台さんがいない。チケットを自販機で買って箱に入れてくれというスタイルだそうだ。
脱衣所に進むと、ちょうど先客が出ていくところだった。これにて貸し切り状態。意気揚々と浴場に進むと、ザ・温泉という感じの佇まい。
洗い場が4席、浴室はあつめとぬるめの2室。あるのはそれだけの質素な作りだが、風情があってよい。風呂桶を置けば「カコーン」という音が響く。それ以外には源泉の流れる音だけ…。いいね、これこれ。
髪と体を洗って風呂に浸かると、一瞬でわかる「あ、これ只者ではない湯だな」感。簡単に言うと、ぬめるんすよ。入った瞬間に「さぁ、肌溶かしますよー」とでも言わんばかりのトロ湯加減。温泉に入ると肌がスベスベになるって言いますやん?あれのレベルを極限まで上がるとこうなるのか、って感じの。
ひとしきり浸かって一息ついていると、浴槽掃除の時間になったらしい。程よいので湯から上がる。
牛乳飲みながら、温泉の効能を読んでみると、これなんでも効くやつだな。
人吉市の人は長生きしてんだろうな。なるほど、それで人吉…。
さて、温泉から車に戻って、我が愛車を見てみると、めっちゃ埃をかぶって汚れている。なるほど…桜島火山灰。
そういえば、この車買ってからまだ洗車にかけてねえな…ということで、ホームセンターで洗車グッズ買って急遽洗車場に入る。俺も風呂でリフレッシュしたし、お前も綺麗にしてもらえネバリ号。
昼飯も食わずに車を拭きあげていたので、熊本へ行く道中で簡単な栗のお菓子を食べる。
俺は栗には足を向けて寝られないんだ…。自然な甘さが嬉しい一品だった。腹ごしらえも済ませると、いよいよ熊本市内に向かって一直線。
さて、この旅行が始まって3日目だけど、この旅でほぼ唯一の「一度きたことがあるところにもう一度」というのが、この熊本エリア。
2012年夏。山梨から名古屋、京都を経て、熊本、福岡、山口を巡った旅行。その中で俺は熊本に来ていた。
阿蘇山に寄り、熊本城を見て、陣太鼓を買い、熊本ラーメンに舌鼓を打った。
平成28年の熊本地震。自分が見ていた映像の中で一番ショックを受けたのが、大きな被害を受けた熊本城の姿だった。
熊本城に行っても、立ち入り禁止エリアばかりで見れないだろうことはわかってたが、あの日見た熊本城が今、どうなっているのか。実際に見てみたかった。
実際に、行ってみないとわからないことがある。この数日、大分で、宮崎で、鹿児島で感じてきたことだった。もう一度、熊本城に行くことはきっと間違っていない。
そういうわけで、組み込んだ熊本城行き。
渋滞に巻き込まれて到着が送れ、少し遠くの駐車場から歩いていく。
現在の熊本城観光ルートは、城下の熊本県産品コーナーから、天守のあるエリアの外側の、二の丸広場を周り、加藤清正神社に至るというもの。天守広場に入ることはできないので、実際は遠くから見ることになる。
その道中、被害を受けた箇所箇所が見え、未だ復旧の途上にあることを痛感するけど、一番感銘を受けたのが崩れた石垣をもう一度組み直そうとしていること。
そのこと自体は知ってたんだけど、実際に見てみると途方もない試みだと感じた。
広場の一区画を区切って並べられる、石垣の石、石、石…。
これがどこに位置していたかを判別して、また同じ様に組んでいくという作業。とんでもないことだと思う。その、とんでもないことを熊本県民はやろうとしているのだなあ。
時刻は5時半近くになっていたが、天守のクレーンからはまだ作業音が聞こえていた。
撤収する作業員の活気に満ちた会話を聞いていて、「きっとこのとんでもない人たちは、本当に熊本城復旧をやり遂げるだろう」という確信に似た感覚を得た。
火の国、熊本。めっちゃ燃えている。
熊本城の復旧完了は2036年予定。このプロジェクトの完了を見てみたいから、熊本城が元通りになったらまた来ようと思う。ここに備忘録、17年後の自分よ、忘れてくれるな。
さあ、熊本のそのエネルギーを実感すべく夕飯を食べようと思い、あたりをつけていたいくつかの店に向かう。
まず一店舗目は馬肉のお店。まだ早い時間帯だったため、店内はさほど混んでおらず、カウンター席にてゆっくりとメニューを眺める。
まずは絶対に馬刺しを食べようという所。馬刺し5種盛りがあったのでそれを注文。合わせて、馬肉ユッケ。酒は飲めないので烏龍茶も。
いやあ、程なく運ばれてきた馬刺しを食べてみてですね…。
この九州一周旅行で、一番美味しかった食事シーンはこちらなんです。熊本の馬肉。
肉って生で食ってもこんなにうまいのか、と。甘み?いや、旨味だろうな。肉の脂の旨味。あれはすごい。タテガミ(馬の首の部分)の部位とか食感がすごく独特で…いやあ、うまい。めっちゃうまかった。本当にうまい。また食べに行きたい。
あんまりにも美味しかったので、続いて馬肉の焼き肉も注文。「これって一人前どのくらいですか?」と聞いたら「一部位3切れずつで、5部位出てきます。本日はハラミ、ヒレ下がり、ビンタ、上ロース、カルビヒモです。」とのこと。15切れ?余裕だ。「じゃあ、それください。あと、このホルモン焼きと、ライス。それと烏龍茶のおかわりをください。」と注文。
あ、気がつきました?完全に孤独のグルメムーブ入ってますね。
眼の前の鉄板に火が入れられ、しばらくすると、お肉登場。
「こちらさっと炙るくらいでお召し上がりください」ということ。お兄さん、もちろん知ってますがな。さっきまで生で美味しく食べてたんすから。
そして、さっと火を通して、食べてみるとですね。
あー、これもうまい。めっちゃうまい。ほんともう最高…。ご飯も進む。思い出したら、お腹空いてきたな…。ビンタって馬の頬の部分らしいんすけど、なんか、こう…おいしかった!すごいうまかったわけ。
ユッケもホルモンも美味かったなあ…。めっちゃ満足。17年後、絶対また行くからな。馬肉があんなに美味いものだとは知らなかった。
ちなみに、こちらのお会計が今旅行中に一食でつかった金額としてはMAXの7,600円となってます。まぁ、あれだけ食べたらね。
それでも、満足。次はこの倍のお金持って行こうと思う。めっちゃ美味かった。
いやあ、これが熊本人のパワーの源か…と感慨に浸って後、「よし、じゃあ今度は熊本ラーメンだな!」ということで、創業64年の老舗熊本ラーメン店へ。
こちらは前日に食べた鹿児島ラーメンよりは脂のインパクトは抑えめだったものの、さっきまで焼き肉バンバン食ってた胃にはちょうどよい。
とんこつラーメン食って、胃にちょうどいいもなにもなかろうが…とも思うけど。
ここも美味しかったなぁ。スープ全部飲んでしまった。九州のラーメン、どこで食っても美味しいのはずるいと思う。
いやあ、満喫したわ…ということで、本日の活動はここまでとして、本日の仮眠場所、北熊本SAへ向かうべくに車に戻る。
車のカーナビを「北熊本SA」にセットして、向かったんですけどね…。
こいつ、一般道からしか入れない北熊本SAの事務局に案内しやがった。違う…俺は高速から入れる北熊本SAの一般客がいる部分に連れて行ってほしかったの。
車内のFMでは「最近、すごく良い洋楽のCDがあったんだけど、演奏者の名前がなかった。いい演奏だったのに、もったいないなぁ」と地元FMのパーソナリティが語っていたのをよく覚えている。
旅行初日も、東九州自動車道の新たに開通してるエリアに対応してなくて大幅に時間をロスさせられたし…ということで、この旅行ではこれ以降カーナビを信じないことも必要という教訓を得た。
やっとのことで、北熊本SAに到着したのは21時前。
数年ぶりに熊本銘菓陣太鼓を食べて、一息ついて、車中泊に臨む。
時間の都合で、結局阿蘇山を回れなかった。阿蘇山行きを翌日にまわして予定を組み直す。なんにせよ、体力はきちんと回復しておかなければ。
そんなわけで、九州旅行3日目の夜は更けていった。
もう1月ですね。旅行から一ヶ月ですが、旅行記はまだ途中です。末永く見守ってください。
(翌日へ:2018年九州の旅 4日目 - 人生、東奔西走)