人生、東奔西走

自分の人生の備忘録のつもりで作りました。

前日譚としての障害物競走

昨日のハーフマラソンのレポートをする前に、その前日のトラック競技について話しておこうと思う。物事には順番というものがありますゆえ。

 

さて、一昨日の土曜日。とある運動会に参加する機会があった。

当初出場種目は障害物競走の一種目だけだったのだけど、なんのかんのと諸々出場して計4種目に出場する羽目になっていた。まぁ、人もいないから仕方ない。

当初予定の障害物競走の段階ですでにかなり消耗していたのだった。多分一番のネックは綱引きで消耗した腕肘腰だろう。人間普段使わない筋肉、普段しない動きをするとひどく痛める。これは人類普遍の原理ですな…。

 

障害物競走の段になり、待機しながら考える。

ここで選択肢は二つ。

翌日に備えて流すか、真剣勝負をするか…。後者を選ぶ理由の一つにはこの時点でチームが6チーム中2位の好位置につけていたということがある。終盤2位キープ、最後まくれるポジション…。既視感がある。俺はこの展開を8月=9月に知っている…。

それにまぁ…他の走者がかなりシュッとしてる人間ばかりだったので、俺が流すと大差というレベルにはならない。他の人間が流すのより俺の全力疾走のほうが遅いだろう。そういう状況下でただでさえ遅いのに、流すというのは…なんかこう…ちょっとかっこ悪いなと思う自分の心境もあった。でもなあ…すでに結構消耗してる状態で、翌日のハ

ーフマラソンもあるし…。

 

そんなことを考えていたら、スタート位置に並ぶタイミングになった。一番のアウトコースに立つ。困ったらアウトコース。人生普遍の原理ですな。お前いつも困ってんのか。

どうすっかなあ…結局スタートの瞬間まで、どちらにするかというのを決めきれず、スタートのピストルを聞いた。

とにかく初っ端から流すのは良くない。最初の障害までは全力疾走だ…。

と、思ったら内側から4人サーッと前に抜け出していった。なんかかるーく流したような余裕の走りで。…ああ?

この瞬間冷静さがなくなったんでしょうね。脳裏をよぎる言葉があったとしたら。「ふざけとる場合じゃねえ」「勝つしかないから勝つしかないのだ」ああ…生まれついての勝ちたがりで損ばかりしている。このときすっと「万全の状態で明日」とかそういうことを考えなくなっていた。

しかし、明日のことを考えない花山薫が愚地克己を圧倒したように、「鍛えない」という強烈なまでの自負心が何かをぶっ倒すことがあるかもしれないのだ。(まぁ、実際には長距離走用にそこそこ準備をしていたりするのだけど)

 

全体の1/4をすぎたところに最初の障害物があった。縄跳び。

縄跳びを飛びながら10mとか20mとか先にあるコーンの位置まで走る。随分久しぶりに持ったなあ縄跳びなんて。

とにかく広いストライドで飛んでるんだか飛んでないんだかわからんくらいの勢いでコーンの位置の少し手前で縄跳びぶん投げ捨てて次の障害に向かう。

前方にシュッとしたの4人確認。だがまだ次の障害で追いつけるくらいの位置だ。ふざけとる場合ではない。これが今年のバファローズとかマリーンズとかの気持ちか。しかし要所要所で勝っていくとペナントレースに大きな影響を与えることもある。マリーンズさん、その節はほんとうにありがとうございました。

 

なんにせよ、まだ追いつける。まだワンチャン。そんなことを考えながら次の障害に突入。ネクスト障害はネットくぐり。まあ、ありがちなやつだ。

ネットの位置に到達する。低速タックルのごたる勢いでくぐりにいく。縄跳びの障害といっしょで、おおよそこのくらいで終わりだなと思ったら、もう次の疾走の準備に入らないといけない。一つ一つ丁寧にやりすぎていたらトラック競技で勝ちを拾うことは困難だ。

よーし、もう抜けたろ。と思って体勢をあげようとしたときに事件は起こった。まだネットが続いていたのだ。

しかし再び体勢を落とすことは難しい、そんなことができるようなスピードではない。ここでタカボン選手。そのまま強引に突っ切ることを選択。要はちょっと引っかかっているだけなんだからこのまま強引に力で持っていけばいいんでしょ。ゴールはここじゃない、まだ終わりじゃない。引っ張られてもまとわりつかれてもラインを超えればトライなのだ。

まぁ、誤算だったのは自分が想定していたよりもまだネットが残っていたということ。力でやりきることができずに見事にネットにひっかかってしまうような形になってしまった。

ここでネットを抑えている係の人が手を放してくれればよかったものの、何が彼らの使命感を燃やしたのか、ネットを決して手放そうとしなかった。しかし使命感はあっても重量差はいかんともしがたく、体重100キロオーバーの低速タックル(全力疾走)を二人で抑えきれることもなかった。結果としては、係の人もろともずっこける形となってしまった。鍛えないという強烈な自負心がぶっ倒したのは自分自身でした。

しかし、係の人もさすがにコケたときにネットを手放していた。これにてネットくぐりの障害は終了。一応後ろに謝りつつ前方に向かう。

ズザー!とこけるのではなく、前方にひっくり返るような形だったため、前へのスピードはかろうじて残っている。ここで止まってはいけない。

このとき、前方の人間たちは次の障害を始めた。しかし後半二つは得手不得手による差が如実にでる障害だし…。もしかしたら走るのは得意でも飛び跳ねるのは苦手という人がいるかもしれない。

 

第三障害。どんごろす。物騒な名前だけど、これ通じているだろうか。まあ、南京袋とも呼ばれるらしい麻袋に両足つっこんで、ジャンプの要領で進んでいくというもの。

足を封じられた人間たちが四苦八苦前方に進んでいくさまをみて楽しむという…障害物競走の悪しきところを凝縮したような障害物。

急に口が悪くなったのは、このあたりで体力が尽きかけていたのもあるだろう。というか、ズッこけたので完全に冷静さを失っているフシはある。「ここまで犠牲を払ったのだから、もう勝つしかない」後付でナレーションいれるならそんなもんだろうか。

両足突っ込んで、跳ね始める。じゃかあしゃい、見世物じゃねえんじゃ。前方の人間はもう次の障害に行っている。走るのが得意な人間はたいてい飛び跳ねるのも得意でした。人間そういうふうにできている。人間普遍の原理。

しかし、この両足を封じられた状態でするジャンプ。背筋とか腰とかへのダメージがひどい。俺の跳び方が下手くそなだけかもしれない。まぁ、走るのが苦手な人間は飛び跳ねるのも苦手ということですよな。

どんごろすコーナーが終わり、麻袋を脱ぎ捨てるとき、再び盛大にずっこける。実況から「がんばってください」みたいなアナウンスが流れていたような気がする。あんまりはっきりとは覚えていない。そっちに払う余裕はなかった。いや、頑張ってるよ。自分で言うのも何だけど、めっちゃ頑張ってる。頑張ってる人間にこれ以上なにを頑張れというのか。でもまぁ…俺たちも普段秋山とかに頑張れって言ってるからな…。無理を承知でそれでも頑張れというしかないシチュエーションってあります。わかります、わかった上ででもここは多分違う。多分、盛大に遅れた人間がいる場合にパターンとしてそういうアナウンスをするという仕組みになっているだけだ。なんにせよその言葉に対してどうこう思うという余裕はなかった。忙しない。ほんま忙しない。

 

最後は缶ぽっくりの障害物。缶下駄とも言われるやつです。最後の直線はこれでゴールテープまで向かっていくことになります。まあ、この時点でゴールテープはすでに切られているけど。

缶が重みで潰れるんじゃないかって心配になったけど、この缶下駄は竹でつくっているやつなので、多分大丈夫。大丈夫じゃなければそもそも競技として難ありになるので再走を要求します。いややっぱなし、もう一回で懲り懲り。

缶に足を乗せるのでさえ息も絶え絶えという様子になっていたけど、足さえ乗せてしまえばあとはコケないように手足で進むのみ。これも背中を結構使う。これ以上コケるのは御免被りたい。痛いので。

結論から言えばコケなかった。ゴールするまでは。ゴールラインを超えたあと前方に手をついてしまったが、ライン超えたから実質トライ。俺の勝ち。

 

いやー…もう二度と障害物競走なんて出ない。トラック競技なんて出ない。そう決意を新たにしていたらアナウンスで「がんばってください」という声が聞こえてきた。

え?と思って振り返ると最後の缶ぽっくりに挑んでいる人が一人いる。

そう、俺ドベじゃなかったんスね。あとから聞いた話では勝負の分かれ目は最初の転倒したタイミング。

あの転倒によって前方組とは大きく差がついてしまったのだけど、俺がネットという障害物そのものを一旦機能不全にしてしまったために、係の人が所定の位置について、ふたたび「ネットくぐり」ができる状態になるまでのタイムロスで結果的に逃げ切りに成功したということだった。

 

しかし俺がトラック競技でドベにならないなんて日が来るとは…。

幼稚園の年少組のときの運動会で一着とってから1年ずつ順位を落としていくという逆上村愛子状態を経て、小3以降はドベの常連になっていた俺であるけど、めっちゃ久しぶりのブービー

結果のでない努力はただの言い訳、とは東山さんの言葉だったけど、このように結果が伴ったので…いや?おれこの障害物競走に向けての努力はこれっぽっちもしてないよ?スタート直前まで流すかどうするか悩んでいたくせになんともまぁ都合の良い…。

5位で大はしゃぎしていたけども、まぁ世の人々はこういう勝利をたくさん味わってきたのか…。

 

ちょっと人々の気持ちを実感したところで、2回のクラッシュの影響が心配になってくる。2回の転倒にて肩を打っていたのか肩が痛い。まぁ、転倒に備えて壊れない肩を買う余裕もない。どっちかというと壊れない足回りのほうがほしい。

あくまで前日譚としての障害物競走。翌日のハーフマラソンに影響を出すつもりは毛頭なかったのであるが…。まぁ、その話は別稿に譲るとして…。

 

あ、結果としてチームは優勝しました。

 

103.0