2016年より始めた日本七霊山の旅。
前回は2022年5月2日に釈迦ヶ岳に登りました。今回はその翌日、2022年5月3日に大峰山に登ったときの記録を残しておきたいと思います。
釈迦ヶ岳同様に道の駅出発~登山口までについては旅行記事と内容を同じくするものとなります。それではいってみましょう。
前日に車中泊を行ったのは道の駅吉野路大淀、この日は4時に起床し出発します。
というのも一日前の釈迦ヶ岳よりも本日の大峰山のほうが登るための所要時間が長いため。
出発程なくのローソンでおにぎりを補給します。明けゆく東の空に…。
大峰山登山の登山口、大橋茶屋に向かいます。
1時間ほど運転して大橋茶屋駐車場に到着。受付で駐車料金を支払って、フロントガラスに受付済証を置いて登山準備。
ただ、いくつかの懸念事項はあります。
まずひとつに2日連続で1000mを超える山に登るのは初めてだということ。この旅行で2日連続登山をすることになるのはわかっていたので事前に練習として天覧山→武甲山というのはやりましたが、天覧山は散歩というレベル感なので、本格的に2日連続は初めてです。果たして体力の回復は間に合っているのか…?
もう一つには、ここまで都合4日旅をやり倒してからの最後の大一番になっている、こちらもやはり体力面の懸念です。
本来ならこの旅行は所沢を出発して山梨、長野、愛知…ときて2日目にこの大峰山、3日目に釈迦ヶ岳を登る旅程を計画していました。それが、天候に懸念が合ったために当初の旅程を逆にスタートして、快晴の日に登るよう調整したのです。
天候のめぐりという点ではうまくやったものですが、旅行最終盤に大峰山登山という最大体力の勝負どころを迎えるという点。
ただ、登山口入り口に到着したタイミングでは、体力もいける…!という感触でした。また天気は今日も望みあり。よってGOの判断を下しました。
もう一つ、大峰山登山においては一般的な登山ルールに加えて、もう一つの掟がございます。それが女人規制というもの。
大橋茶屋側から登る入り口にあたる清浄大橋を渡ると程なく女人禁制結界の門がありますし、その脇にはその掟について信仰する皆様のみならず、登山で入る人へも協力をお願いする看板もありました。
この女人禁制という点について、現代において開放すべきという声もあるようですが、今回、偶然自分が男性だったから登り得る機会を得たという点で自分が何かを言うべきことではないとも感じています。
また、自分が大峰山を登ろうというきっかけは、こちらが日本七霊山に一角に数えられていること。それほど多くの人々の信仰を集めてきた山岳であるということもあります。その信仰に根ざす掟であるならば、1300年にわたって受け継がれてきた信仰には真摯でありたいと思う点からも、現代的な価値観から良し悪しのことを言うべきではないとも感じています。
長々と書きましたが、よってこれ以上紙幅を割くことはしませんということです。
これまでの山行ではザックに貴音、未来ちゃんの缶バッジを。また木材と一緒に泰葉のアクスタを持っていっていましたが、今回は彼女らを車中に残し、男一人大峰山登山のスタートです。
出発時刻は6時。
ザックを担いで今日登る山を見上げてみる。
見上げる首の角度から今日はけっこう大変なことかもしれないなという感触を得ます。
それもそのはず…。
前日の釈迦ヶ岳は登山口から山頂までの標高差は490mほど。今回のルートは標高差900mオーバーというルートになります。(同じルートの山行記事がありましたので、山行までに)
標高差とルートの難易度は必ずしも正比例するものではないですが、必要な体力度の目安とはなります。松山に住んでいた頃に石鎚山によく登っていましたが、そこでの標高差は400~500mほど。
そういう意味ではこの標高差を登るというの、本当に久しぶりになります。それこそ2016年の富士山吉田ルートが標高差1400m、同じく2016年の鳥取大山が900m差なのでそれ以来です。
何にせよ、登っていかないといけない。幸い時間はあるんだ。と山に入ります。
橋を渡って程なく、先程お話した女人禁制結界の碑がでてきました。
女人禁制って英語でNo Woman Admittedってなるのか。英語表示があるを見て世界遺産だったということを思い出します。
その結界の表示を越えると、しばらくはこのような杉林。
前日の釈迦ヶ岳とくらべると様相がずいぶんと違います。
本日の行程を前後半に分けると、山林を延々登っていく区間これが洞辻茶屋という休憩処まで続く前半。
後半は、その洞辻茶屋から大峰山寺まで向かう尾根道だったり鎖場だったり、ガレ場だったり…という後半。
まずはその前半パートというわけ。
また、この日5月3日は大峰山山頂の大峰山寺の本堂の扉を開ける儀式の日でもありました。
そのために朝も早い時間ではありますが、登っている人は自分の他にも結構いて、山伏姿で登っている人、学生らしき若者の集団、地域の子供集団らしき一団などなどが見られました。
そして大抵の人は自分よりも歩くのが早いので、どうぞお先に、とごいごい追い抜いてもらいます。
人に追い抜いてもらう話をしたのでついでにもう一つ。
山登りするときに他の登山者とすれ違うときなどは挨拶をするんですが、大峰山ではその挨拶として「ようお参り」という言葉を使います。
よく参られたというニュアンスの言葉と認識しているのですが、このしきたりもかなり浸透しているようで、記憶にある限りでは自分は挨拶を交わしたすべての人がこの言葉を使っていたと思います。
私も倣ってようお参りと言いながら登っていきます。
前半区間の森林地帯はこういう休憩処をいくつか通っていきます。
この一本松茶屋に到着したのがスタートから1時間の7時過ぎ。
この写真を取ってしばらく進んだ先で厄除けカワラケ投げという土器のかけらみたいなものをぶん投げるアクティビティの写真を撮った後…。
次に写真を取ったのが8時半。洞辻茶屋に到着したタイミングでした。
いや、これめちゃくちゃバテてるな?その自覚は自分にもあって、そりゃもうすごい人の数に追い抜かれていきましたよ。
洞辻茶屋に着く手前くらいに七曲という結構な勾配をぐにゃんぐにゃん曲がって高さを稼ぐゾーンが合ったのですが、曲がりながら「なんで曲がるんだ…」と道理の通らない疑問が頭を駆け巡っていたのを覚えています。
洞辻茶屋に到着したのが8時半。出発から2時間半ほどです。
ちなみに今使っているこの大橋茶屋~洞辻茶屋~山頂のルートのルート全体での標準タイムが2時間半ということらしいです。前日とは打って変わってコースタイムから大きく遅れているわけです。
ただ、そうは言ってもまだ8時半。
本堂までの残り2キロの表示を頼りに不動尊像に見送られ、山頂を目指します。
洞辻茶屋をでるとこういう緩やかな道が続いていて、杉林の中ひたすら標高を稼いでいく道に比べてだいぶ楽に歩けるようになったな…、と。
少ししたところに時間表示のある案内板があって山上ヶ岳、つまり大峰山寺まで40~50分とのことらしい。
(じゅるみってなんだ?)
この時点で8時50分でした。ということは9時半くらいにはつけるということか…。
そう思っていたのもつかの間、後半戦第一の山場がやってきます。
自分は鎖場を使わないで巻き道をつかうと決めていたので、迂回路を通っていくのですが、その迂回路がこういう階段道。
階段自体はべつに良いのですが、この日は未明に降った雨が山頂では雪だったりしたのか、それとも氷点下までいっていたのか、なんにせよこの階段が凍結しているようでした。気をつけないといけないのはスリップ。
写真ではコケたとて横に倒れなければ大丈夫に見えるのですが、この階段道、途中山壁を沿うようになっているか所もありました。うっかり滑って後ろにひっくり返った日にゃそのままカーブを突っ切って崖から落ちるような。
この凍った階段道がめちゃくちゃに怖かったんすよ。足滑らせたらそのまま階段を滑り落ちて、崖下にドーン!という姿ばかりが頭をよぎってしまって。
おっかなびっくり、ようやくその巻き道を抜けたときにはどっと疲れ倒してしまいました。
そして後半戦第二の難関が、この巻き道を過ぎてから大峰山寺に至る区間。
この区間はこれまでとまた様相が違って岩場が登場してきます。
そしてこの岩場が…濡れている…!やっぱり前日雨でも降ったんじゃないか。
この岩場もまた恐怖ポイント。ここは足を滑らせても崖下に滑落するような場所ではなくて、ただただ怪我をするだけなんでしょうが、ここまで疲労蓄積されまくった下半身には堪えます。
周りの人をみるとストック使っている人が結構うまくこの岩場をひょいひょい登ったり降りたりできている気がします。
ストック…買うかどうするか…と悩みますが、それは下山まで終わった後に初めて議論できることです。
ほうほうの体で岩場を越えて、ようやく…ようやく…。
宿坊が立ち並び、穏やかな内庭のようなところに出て、見ると宿坊の方らしきひとが竹箒で掃除をしている。
いま先程までの歯を食いしばっての岩場越えとは違って、ずいぶんと静かな落ち着いた空間になります。
案内に従って進むと大峰山寺の門があり、お寺の境内の中へ。
境内内を一周してお参りしたのちに、境内横にある山上ヶ岳山頂の表示に向かいます。
時刻は10時…。標準タイム2時間半の道のりを約4時間かけて登ってきました。疲労困憊です。登りきったときにこれ以上疲労を感じたことはなかったかもしれない。昼ごはんのおにぎりを食べて腹に落とし込んだとき、ふと安心してすごい脱力したことを覚えています。
なんにせよ、これにて大峰山登頂でございます。
しかし、これ…来た道を再び戻るのか。そのことを考えながらも、頂上お花畑エリアで休憩をして、あたりを散策します。
三角点や方角表示など…。
釈迦ヶ岳とは違って、奈良市街、京都市街か?というエリアも薄っすらと見えましたね。
今日も今日とて天気が良い。
意図したものかどうかわからないのですが、伐採した跡が下矢印⇩になっている山肌もありました。
で、風景を見渡して登ってきた方の下を見たときに、大橋茶屋駐車場が見えたんですよ。
このときですね、「そうだ、俺は無事に下山しなければならない」と。
日本七霊山の旅はまだ終わっていないし、駐車場に待たせている人もいる。
このときに木材握りしめて泰葉の実在を実感した感覚は、なんというかとても…ガツーン!と食らったような感覚でして。兎にも角にも無事に下山しなければならない!と自分に喝が入りました。
七霊山のたびにおいて唯一の女人禁制である大峰山、故に1人で登ることとなったわけですが、その孤独が逆に共に在ることを実感させてくれたというのは…。うまくいえないんですが、一つの体験だったと思います。
気合一発はいったところで、荷物をまとめて下山します。
お寺の境内を出たところですれ違った方から「もう下りられるんですか?」と聞かれたの、今にして思うと本堂開門の儀式がこの後あるからだったんだなと今にして思います。
下山しきるまでが登山なので、無事に下り切るためにも気力の満ちた今発たなくては。
10時半過ぎに下山開始。
来た道をそのまま下りるピストンルートなので、岩場も階段も同じ道を通ることになります。
岩場は休憩直後ということもあって登りよりは幾分か楽に、階段は日光が当たるようになったためか凍結している感じはありませんでした。風はこちらに吹いている…。
ただ、ペースはゆっくりだったようで出発から11時40分。1時間あまりで洞辻茶屋に戻ってきました。
そこからも脇目もふらずに下りていたようで、写真など殆ど撮っておりません。
自分、下りは休憩を取らながちなんですがこの日もそうだったみたいですね。
そして13時30分。登り口の清浄大橋にまで戻ってきていました。
結局下りも3時間かかったのか…。
標準タイムだと登り2時間半、下り2時間というところだったはず。私は登りに4時間、下りに3時間でした。2日連続登山の影響がモロに出ているな…。
やっぱり朝と一緒で角度あるな…。遠くに見えるその場所に登ってきたんだと思うと感慨もひとしお…いややっぱ嘘、その感動よりも安堵が勝ちました。
しかし、これで…とうとう日本七霊山の旅も5つ目。残りは白山、立山を残すのみ。
まずは2022年GW、釈迦ヶ岳と大峰山に登って数年来の目標を達成することができました。
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