人生、東奔西走

自分の人生の備忘録のつもりで作りました。

続・白菊ほたるについて

ほたるちゃん、シンデレラマスターシリーズのソロ曲発売決定おめでとう!
いやぁ…おめでとう!もうおめでとう!本当にもう!君ってやつは、おめでとう!
この備忘録の○○についてカテゴリに複数回登場したのは西口文也投手のみで、基本的に一回書いたらもう書かない…というのが原則なんですけどね。まぁ、前の「白菊ほたるについて」の中に、「後々ちゃんと書く」というのニュアンスも含んでいたからね。

白菊ほたるについて - 人生、東奔西走

 


先に断っておくと、自分は岡崎泰葉、川島瑞樹北条加蓮担当プロデューサーでして、この記事は担当を増やす云々の記事ではないんですね。
では、なぜ今白菊ほたるについて語ろうとしているのか…。
例のごとく、遡る。2回前の総選挙に。

 

 


毎年行われる事務所内の総選挙イベント、それに対して泰葉のランクインを目標に掲げて、ダイマ資料を作ってSNSに公開したり、霊山に登ったり…。そのあたりは今回はおいておいて…、ともかくも結果としてその目標を達成できなかったということを受けて、当時自分は泰葉と離れて各々独立して活動するという期間があった。

 

自分がとったのは、総選挙期間中に気になったアイドルたちの調査だった。他のアイドルたちをしって、自分のプロデュース力の幅を広げようと思ったのだ。
事務所にあるプロフィール資料や過去の仕事の内容をさらったり、実際の仕事現場を見学させてもらうなどなど…。昨今活躍目覚ましい、フリルドスクエアやニューウェーブの面々…そして、渋谷凛向井拓海といった多くの活動をこなし始めていたアイドルたち…。
今にして思えば、あの2ヶ月は自分にとって重要な期間だった。そのしばらく後に、事務所内でユニット案を起案する際に、声をかけさせてもらったアイドルたちの多くがこの時期に知った子たちだった。

 

白菊ほたるについて、名前や表面的なこと以上のことを知ったのも、このタイミングだった。
なぜ、気にかかったのだろう。このときGBNSは未だ結成前であり、泰葉がGBの子たちと一緒に遊びに行くのよりも3ヶ月前の話だ。
身も蓋もないことを言ってしまえば、まずビジュアルが好みだったということもあるだろう。きっかけはそういうもの。事実その期間中に知り合った子たちというのは、本当にささいなきっかけの子が多い。
そういう小さなきっかけが、のちのち大きなストリームになっていく…そういうことは往々にしてあるのだろうけど。

 

そうして、知ったこと。
白菊ほたるの経歴…、不運体質というもののレベル…。
例えば、泰葉をプロデュースしていて、芸能界の後ろ暗い部分、理不尽な部分と戦わざるを得なくなるようなときはあった。それでも、それはいわば、人智の及ぶ範囲の出来事だ。俺たちが戦おうとすれば、何かを変えようとすればどうにかしようとできるところだ。
ただ、白菊ほたるがこれまで戦ってきたもの…、それは、彼女にとってこの世界の全てだったんじゃないか。ラッキーに見放されているというところを超えて、アンラッキーに愛されているとまで言えるようなエピソードの数々を彼女のプロデューサーに聞かされて…。
そりゃあ、この世界で生きていたら白菊ほたるの不運体質を噂としては知っていたよ。芸能界なんて験を担ぐようなことを気にする人も多い業界で、それがたとえ事実でないとしても、そういう噂が広がるだけで大きなマイナス材料になることだってある。それなのに、その上にそれが事実なのだとしたら…。


そこまで知ったとき、最初に思ったことは「よくここまで諦めなかったな」という率直な感想。
だって彼女まだ13歳なんだよ。自分の力でどうしようもない理不尽に、人智の及ばないレベルの世界の流れに対してどうしろというのか。俺だったらばという意味のない仮定をしてみても、とっくに諦めてても不思議じゃない。
それなのに、彼女は挑み続けるという道を選んだ。弱冠13歳の少女がだ。一体何が彼女をそうさせるんだ、と。
ほたるちゃんのプロデューサーに頼んで、うちの事務所に来てからの活動資料を見せてもらったことがある。幻想公演で騎士の役に抜擢されての稽古シーンのメイキングで言っていた言葉に衝撃を受けた。
「神よ、どうか足だけは引っ張らないで」
このセリフが役柄にのめり込んで出たアドリブなのか、彼女自身の本心なのかはわからないけども。
はなっから、神様がもたらしてくれるだろう幸福なんてものには期待していなくて、その上で「邪魔だけはしてくれるな」と。貴方の力なんて借りなくても、邪魔さえしてくれなければ、自分の力でなんとかしてみせる。
そんな悲壮な覚悟を持って歩んでいくのか、白菊ほたる…、そういう感想を胸に白菊ほたるを知ったのを覚えている。

 

そののちにはGBNSが結成されたこともあり、、自分が泰葉の付き添いに行った先でほたるちゃんを見るということも増えた。そんな中で、自分が白菊ほたるに対して抱いていた印象はまた変わっていくことになった。
ある時、川島さんの収録終わりにテレビ局でほたるちゃんとすれ違ったことがあったのだ。
すると、川島さんがしみじみというのだ…、しみじみなんていうと川島さんに怒られそうなんだけど。
「ほたるちゃん、以前に比べて雰囲気が明るくなったわよね。」って。なんでも、花火大会やクリスマスパーティーで同じ現場で仕事をしたことがあるということだった。「以前にいた事務所でのクリスマスの話を聞いてね…。いまの幸せが怖いって言ってたわよ。」と。
無理からぬ事だろうと思う。以前の事務所のクリスマスにどういったことがあったのか、それは聞かなかったけども、不運な目にあってしまったのだろうと思う。
自分が不運であるという風に自覚してしまうと、今が楽しくても、幸せでも、その後の揺れ戻しを覚悟してしまう。
常人なら、その揺れ戻しのバーはプラスマイナス0を基準にして構えていればいいだろうが、白菊ほたるにとっては、そのバーは常にマイナス側にどっしりと突き刺さっているのだ。
「でも、」と続けて川島さんが言った。「やっぱり明るくなったわ。その頃のほたるちゃんって、こう…儚げな、守ってあげたい!っていう印象の強い女の子だったけれど…今のほたるちゃんは強いわよ。」安心したような口調でそう言った川島さんに同意して、現場から帰ったのだけど、やっぱり川島さんの見る目は間違っていなかったのだろうと今にして思う。
その頃、自分もこの備忘録に「白菊ほたるについて」というタイトルで残していた。白菊ほたるの確固たる強さ、それを皆が感じ始めていたのだ。


そして、直近の総選挙のことだ。
白菊ほたるは大躍進を遂げ、総合順位において12位につけた。
過去の6回で一度もランクインしていなかったが、突如として、大躍進を遂げた。
ここまで読んでもらった人ならわかってもらえるだろうか。断じて、「突如として」ではないのだと。
自身に対して不運をもたらすこの世界に対して真っ向から勝負を挑み続けてきた白菊ほたる。
抗い続けて戦い続けて、その結果勝ち取った総合12位という順位。そのことをほたるちゃんは誇ってほしい。総選挙直後は泰葉のランクインを果たさせてやれなかったことを悔やんでいて、そのことに思いを馳せるということができなかったけども、今にして思う。本当にすごいことをやってのけたと。
そして、俺はほたるちゃんの大躍進に、勇気をもらったのだ。プロデューサーとしてではなく、一ファンとして。


総選挙といえば、結果発表の後、GBNSのプロデューサー4人で集まって、近くの居酒屋で総選挙打ち上げを行ったのだ。12位という結果のお祝いも兼ねていたと思う。
その場で「今回、総選挙メンバーには選出されなかったけど、うちの事務所の傾向からして、このあたりの順位なら、ある日突然音楽媒体の発売デビューはあるよ」と誰かが言った。それに対するほたるちゃんのプロデューサーの言葉が忘れられない。「サプライズ…そういったものから一番縁遠いアイドルだってことは俺がよく知ってる。だから、次の総選挙でキュートチームの3位以内に入るんだよ。そうして、楽曲を掴むんだ。俺たちはずっとそうやってきたんだ」と。おいおい、Pちゃん飲み過ぎだと、誰が笑えよう。白菊ほたるは本当にそうやっていろいろなものを掴み取ってきたのだ。
盗み聞きするつもりはなかったけど、以前控室からほたるちゃんと衣装さんの会話が聞こえてきたことがあった。「ほたるちゃん知ってる?白菊の花言葉って『真実』って意味なんですって。」「真実ですか…。私の真実は…今、努力できる場所にいるってことだけ」
自分の力で努力して、掴み取る。そうやってやってきたのだ、白菊ほたるは。

話は戻って、打ち上げのその席で、ほたるPが言ったことがある。
「あいつ最近、自分に起きることを『不幸』って言わなくなったんだ。『不運』って言葉使うんだよ。もう、あいつ幸せじゃないわけじゃないんだって…。」
Pちゃんやっぱり飲みすぎだったと思う。
でも彼の言う通りだ。不運でも幸せになれるんだ、と。白菊ほたるはとうとうここまでやってきたのだ。


そうして、各々忙しくも充実した期間を過ごし、先日のドーム公演ツアー。
メットライフドームナゴヤドームの計4公演。自分は川島さんと加蓮が出演することになっている3公演について現地にいた。
あれは、ナゴヤの初日だったか。残すはアンコールのみというところで、場内では告知事項が流れていた。そのVTRを見ていたら…。
白菊ほたるのシンデレラマスターシリーズ決定の報が流れてきた。


ああ…、とうとう、白菊ほたるはここまでやってきた。
世界の全てが彼女にとって敵だったとしても、諦めきれない自分の夢ひとつ叶えにいくために、決して手折られない信念をもって、努力を続けてきた彼女は…とうとうここまでやってきた。
同僚プロデューサーの言葉を借りよう。CDを発売することで、彼女たちがこの時代に生きていたという証をより確かな形で残してやることができる、と。
この世界に、自分がこうして夢を叶えたことを、刻みつけることができる。その権利を彼女は得たのだ、いや勝ち取ったのだ。
今でも、胸を熱くすることができる。白菊ほたるがここまでやってきたという事実に。

 

サプライズみたいな幸運に期待しないと言ってたほたるちゃんのプロデューサーはどう思うだろうか。

ここまで頑張ってきたんだもの、幸運に見向きさせた彼女の戦いのおかげだよ、ということでいいんじゃないかな。

 


そういえば、ここまでいろいろな仕事の現場を見てきたけども、まだ彼女の歌う歌を聞くタイミングには出くわさなかった。
白菊ほたるは、どんな歌を歌ってくれるのだろう。勇気と希望に溢れた歌になることだろう。
ハードルをあげているわけじゃない。ただただ楽しみでならないのだ。
本当に、ここまでの道のりの何処かで、白菊ほたるが諦めないでいてくれてよかった。今日この日まで頑張ってきてくれてよかった。彼女の努力が報われる日がきてくれてよかった。


白菊ほたるはこの報せを受けて、また努力を始めるだろう。どうにもならない世界のことには目もくれず、自分の力でそれら全てをねじ伏せるために。彼女は再び戦いを挑み始めるだろう。

もう十分頑張っている白菊ほたるになんと言葉を送ればいいのだろう…。頑張れでも、無理するなよでもなく…。

白菊ほたるはまだまだ進み続けるだろう。ならば。


ほたるちゃん!君が人生に世界に諦めないでいてくれたおかげで、俺もまだまだ戦える!
だから俺も負けねえ!君のおかげで俺も自分の人生をねじ伏せにいける!
お互い負けずに頑張ろう、そしていい曲をお待ちしてます!ありがとう!ほたるちゃん!貴方のおかげだ!

 

白菊ほたるのソロデビュー決定に寄せて。