人生、東奔西走

自分の人生の備忘録のつもりで作りました。

「ふたつの昨日と僕の未来」感想、そして完走した佐野岳さん

前売り券を買っていた映画「ふたつの昨日と僕の未来」の松山での上映が明日までだったので、今日仕事終わりに急いで見に行ってきた。

(以下ネタバレ注意)

 

シネマサンシャイン大街道は、商店街のビル内にある映画館。エスカレーターで4階まで上がってチケットを引き換える。この映画のシアターはさらに上階ということで6階まで登る。

少し遅れていったので、予告パートがちょうど終わるところだった。

 

 

さて、以下公式サイトから引用のあらすじ。

 

ラソンランナーとしてオリンピックを目指していた海斗(佐野岳)。しかし、怪我を理由に現役を断念する。その後は市役所に勤め、無気力な日々を過ごしてきたが、とうとう彼女の真里乃(相楽樹)にも見放される。そんなある日、観光案内で訪れた山の中で大雨に見舞われ、逃げ込んだ先に不思議な坑道を見つける。雨を避けようと中へ入ったはずが、なぜか坑道の外へ。そこは、同じ場所だが雨が止んでいる。その瞬間、経験したことがないはずの記憶が駆け巡った。交差する記憶に混乱しながら街に戻ると、喧嘩していたはずの真里乃とは順調に交際し、オリンピックの金メダリストとして街の英雄に!?市役所では、事故で亡くなったはずの父・悟が上司として働いていた。家に帰ると、生きていたはずの祖母・智恵子の遺影があり、とっくに亡くなったはずの祖父・哲夫が現れる。訳が分からない海斗に哲夫から驚きの事実を告げられる。2つの世界の狭間で揺れ動く海斗。果たして彼が進む未来は?

 

この映画の前売券を買った理由。まぁ、ストーリーが刺さりそうというのもあったのだけど、佐野岳さん主演というところですよね。

仮面ライダー鎧武で主演、地獄先生ぬ~べ~では白戸秀一役を演じ…。まぁ、ちょっと思い入れのある俳優であるところの佐野岳さん。芸能人スポーツ王選手権などでもお馴染みですよね。

 

映画冒頭は、その佐野岳さん演じる越智海斗の人生うまくいってなさっぷりがすごい。

(ちなみに越智姓は愛媛、特に東予。なかでも今治に多い名字である。)

仕事はうまくいかない、彼女にもフラれ、飲み屋でカウンターの兄ちゃんに絡む。友人に家まで送ってもらった翌日の仕事では、クライアント?にネチネチと嫌味を言われ(ちなみにこのクライアント役を演じているのが鎧武で呉島貴虎を演じていた久保田悠来さん)

基本的にシュッとしてはるイメージの佐野さんがこういう越智くんを演じているのを見るのは、なんか新鮮だった。

 

さて、そのクライアントらの観光案内の最中に、はぐれて入った別子銅山の坑道をくぐった先はパラレルワールド

ロンドンオリンピックで金メダル獲得。新居浜のスターとなった越智海斗。彼女ともうまくいってるし、市役所でも一目おかれる存在に。祖父も健在。

なによりケンカ別れの後に事故で死に別れた父親がまだ生きている世界線

 

このなにもかもうまくいってる世界線と、元のなんかこううまくいかねえなあって世界線との間を行ったり来たりしながら…というストーリー。

 

そうですね…例えば「涼宮ハルヒの消失」を例に出して話しましょう。

消失世界に飛ばされたキョンは、なんとかして元の世界に戻ろうとする。なぜって自分の意志が介在していないし、そこにはSOS団という自分の所属団体がないし、非日常なとんでもイベントが発生しないと楽しくないから。

この消失が異世界・平行世界からの帰還へのベクトルがあるストーリーだとするなら、「ふたつの昨日と僕の未来」は『選択』を迫られるストーリー。

もちろん、帰還系ルートには帰還するか・しないかの選択をするというのもあるんだけど。本作はもっと選び手の裁量が多大だ

 

もといた世界

夢:マラソンは怪我で断念 仕事:うまくいってない 恋愛:破局を迎えたばかり 家族:祖父と父がいない

 

洞穴の向こう側の世界

夢:五輪金メダル獲得 仕事:新居浜でフルマラソン大会開催にこぎつける 恋愛:順調 家族:祖父と父が健在 祖母が死別

 

作中では祖父祖母がこの世界の行き来を知っていて、まぁ、そういうもんだわ、と受け入れているので。祖父祖母のどちらかしかいないということが世界の選択に与える影響は軽微なように見えた。

ちなみに、片方の世界に自分がいる場合、もう片方の世界の越智海斗は越智海斗で存在していて日常生活をその世界の自分に準じた格好でやっている。

その間の記憶は、戻ったタイミングで脳内にフラッシュバックされるようで、もといた世界に戻るたびに、佐野岳くんの脳内には、仕事でうまくいってなかったり、彼女とよりを戻せないシーンが脳内にフラッシュバックしていた。逆もまた然り。

この作品のパラレルワールドはこういう世界観。

 

最終的に、作中では両世界の行き来にタイムリミットを設けて、どちらの世界を選ぶのかという選択を越智海斗に迫っていた。

 

結局、越智海斗はもといた世界を選んだ。

これほど、別世界を選ぶことのデメリットがない選択を提示されても、越智海斗は元の世界を選んだのだなあ。

作中では、異世界で生きる父に「俺、がんばるけんね」と言い残し元の世界に戻った越智海斗。越智海斗がそういう選択をした理由はこれにつきるのかな、と。

(ちなみに、父親はこの異世界トリップを最後まで知ることはなかった。加えて作中主人公の越智海斗が元の世界に戻ったあとも、異世界越智海斗がこれまで通りにいることになるので、父が気がつくことは最後まで無いだろう)

 

苦労を知らずに手に入れた名誉や地位ではなく、これまでの記憶とともにある人生を選んだという。頑張らないといけない世界だけども、こっちの世界が俺の世界だと。

まぁ、わりとしっくり来る話だ。記憶の断絶してる人生なんて気持ち悪いもんなあ。

ラストシーンは元いた世界で越智海斗が勝ち取った幸福を垣間見せるシーンで終わる。あいつ、頑張ったんだなあ…と思うと、ちょっとジーンとくるものがあるよね。

 

越智海斗ほどではないけども、人生って選択を迫られ続けるものだし、その上でわざわざしんどい道を選んでしまうこともある。けどもまあ、頑張っていたらいいことあるよ。越智海斗が示してくれたように。

個人的には、期待値通り好みのストーリーだったし、いい映画だった。

 

ちなみに、主題歌は本当の新居浜の英雄、水樹奈々さんの「サーチライト」

エンディングの歌詞に「何もない 何もない 闇の中で知った この痛みは絶対無駄じゃないこと」「何もない 何もない 闇の中で知った 後悔は未来でしか消せないこと」って歌詞があるんですよね。

別子銅山の坑道を抜けた先にあった明るい未来。その未来を捨て去って、元いた世界に戻る時も同じ暗闇を抜けないといけない。けども、痛みを伴うしんどい過去を経た未来を選んだ越智海斗はきっと大丈夫だろう。

 

なんか一作感想書いたら、佐野岳さん気になってきたな…。また別の作品も見てみよう。

 

ちなみに、俺は作中で父親に晩酌に誘われた越智海斗が、「今日は結構飲んできたから」と断りそうになった後「やっぱ少し飲もうかな」とグラスを傾けたシーンで、「もうだめだこれぇ…」ってなってました。

 

 

108.8