人生、東奔西走

自分の人生の備忘録のつもりで作りました。

登山について

来週の土曜に海釣りに誘われた。

その日は1/21でゆっくりラーメンでも食べに行こうと思っていた。まぁ、一日中釣ってる訳でもあるまいと、二つ返事でオッケーと答えながら、昔の自分のプロフィール欄を思い出していた。

小学生のプロフィール帳から、中学生の頃のレンタルホームページのプロフィール、大学に入ってバイト先に出した履歴書の趣味欄は全て釣りだった。最後に釣りに行ったのは実は高校2年の時だから、大学になってまで趣味として書くのはいささか以上に不適当だ。

 

各種様式に書く趣味欄の中身が変わったのが大学4年生の頃で、山歩きとか山登りとかそういう言葉に変わっていった。

登山という言葉を使うのがなんとなく恥ずかしかったのと、そこまで本格的にやっている訳じゃない、という予防線のために選んだ言葉だった。

 

 

 

いわゆる登山というものには実はずっと興味があった。各種登山道具の目的が機能になっているようなデザインは好ましかったし、人里離れた別世界で見る風景に憧れたりしていた。

それが元々の出不精と、初期費用のハードルの高さでなんとなく手を出さずにいたら、気がつけば大学四年生の夏。

山梨県の大学生だった自分は富士山に登ってみたいなあという気持ちを持ったまま、最後の富士山の山開きシーズンを迎えた。

 

ここにきて焦った。「このままでは山梨の大学にまできて何をしていたのかわからない」と自分を奮い立たせ、新宿の石井山専に向かった。

登山の最低限の必需品は三つ。登山靴、ザック、レインウェアだ。

ザックとレインウェアは最悪Amazon買っても構わないと思っていたけど、登山靴だけは譲れない。実際に履いてもいない靴で富士山に挑戦は無茶だと思っていた。

一緒に登ってくれるという友人と登山計画を立て、出発前夜には行きつけのラーメン屋で決起集会も開いた。

その時、どんな気持ちだったのかは思い出せない。

朝登って夕方には下山する、日帰り登山だった。

 

翌朝、ほぼ始発の富士急に乗り、河口湖駅でバスに乗り(駅前にあるヤマノススメパネルにテンションを上げて)、山梨側の登山道である吉田登山口5合目へと向かった。

バスに乗っている最中、霧が立ち込めているのかと思っていたら、それは雲で、雲の上へと抜けた時にはそれはもうテンションが上がった。

雲を見下ろすという、いかにも山登りの象徴的なことが、こうも心を踊らせるのかと。

 

到着して登り始めてしばらくして、岩場が続くようになるとほとほと疲れ果ててしまった。

その後2回富士山を登ることになるけど、僕はこの岩場な苦手でどうも体力を消耗してしまう。この時同行していた友人は、岩場が得意で、逆に緩やかな坂が延々続くような道では疲れが出ると言っていた。

僕は真逆で、傾斜がそこまできつくないなら、延々一定のペースで登っていられた。こうも正反対でよく一緒に登りきれたと思う。

山小屋につくたび店の前のベンチで休憩し、風が強くなれば息ができないということに気がつき、本8合目以降の急斜面に、もうダメだこれと嘆きながら、途中やけになって歌いながら、山頂にたどり着いたのは15時とか16時とかだった。

 

登り続けてればいつかはたどり着くという当たり前のことに気がついたのは、いつだったろう。

その気づきの原点はこの富士登山だった。

 

山頂で、僕は中島みゆきを聞いていた。麦の唄だったと思う。

西口さんのTシャツを掲げて、写真を撮ってもらった。

一緒に登ったのに、何故か1人ずつ写真を撮って、降り始める。

下山道入口の岩の陰にはつららがあった。9月の頭で下界の山梨はまだまだ暑い。友人には実は一番感動したのはこのつららだったということを降りてから明かされた。

次は山頂から日の出を見る、いわゆるご来光登山をしてみたいという話にもなった。

山の上と下は別世界だった。

 

その後、翌年の春に石鎚山、夏にまた富士山。今年になって春に鳥取の大山、夏に富士山、秋に石鎚山

登った山の数はそう多くないし、山行経験値は低いし、そもそも3年間で6回なのに、趣味山登りはどうなんだろうと思う。

でもまぁ、時間と体力と気力が湧けば行きたいと思うのはどこかの山だし、いろいろな山に挑戦したい意欲もある。

 

人は何故山に登るのかという問いに、著名な登山家が「そこに山があるから」と答えた話は有名らしい。

自分はどうもそんな気分で登っているわけではないらしい。山を見かけて登らずにいられない性分なら、山に囲まれた山梨県都留市の暮らしでもっと早く登っていないとおかしい。

実は、山に登る理由は固まっていて「いい景色が見たいから」というもの。

富士山に初めて登ったとき、山頂からの景色は、視界を遮るものが何もなく、見渡す限りの雲海が広がっていた。

もう一度あんな風景がみたいという思いが登るモチベーションになっている。

石鎚山の山頂からの光景や

f:id:keepbeats:20170111232930j:image

鳥取大山から見下ろした日本海への風景

f:id:keepbeats:20170111233032j:image

 

その場所に立って、見下ろしてみないとあの快感はわからない、と思う。

自分の歩いてきた一歩一歩が、気がつけばこんな高さになったのかという達成感。

登れば登った分だけ高くにいけるという事実。

その頑張りの分だけいい景色を見せてくれる登山という趣味は、やっぱり魅力的だと思う。

 

ちなみに今まで3度登っている富士山。

2度目の登山は雨の一泊登山だったので地獄めいていたが、今年は天気に恵まれた。

f:id:keepbeats:20170111233429j:image

あのとき見たご来光は俗っぽい言葉だけど一生忘れないと思う。

宵闇が紫に染まる中、登っていく登山道。紫が紺に、紺が青、青がオレンジに…

山頂に待機している皆が同じ方向を見て、徐々に明け行く東の空。

一瞬光ったと思うと、地平線の上に見える太陽。

こんな経験ができるのだから、やはり山登りは辞められない。